しかし、もしプロセスが定量化されていなければ、まだいくつか話すべきプロセスが残っているのに、聞き手は「もう十分いい話を聞いた」と感じてしまい、最後まで聞く耳が持続しない可能性が高くなるのです。ですから最初に、〇つのプロセス、と定量的に数字を示すことで、「あともう2つあるんだな。なんだろう?」と思わせるきっかけ作りができるのです(このコラムでも「3つのツール」と最初にお伝えしていますね!)。その結果、そのプロセスが自分にとっても分かりやすく、実現しやすく、効果もあるものだ、と感じてもらうことができることでしょう。

 しかし、中には懐疑的な聴衆もいます。確実に納得してもらうためにはどうしたらよいのでしょうか。それがツール その3です。

聞き手とつながるツール その3:失敗談を語る

 あなたが伝えたメッセージをもとに、聞き手にアクションを取ってもらいたいならば、あなた(=スピーカー)は特別な存在ではなく、聞き手と同じような人間なのだ、と思わせなければいけません。そのためには、失敗談(営業ならば、商品開発の苦悩や秘話など)を語ることが1つの有効な方法として挙げられます。

 例えば、筆者の場合、今ではパブリックスピーキングのコーチングをしていますが、MBAの初日のクラスで自己紹介した時、単なる自己紹介なのに脇汗をびっしょりかき、いざ自分の順番が回ってきたら、言おうと思って頭の中で練習していたこととは全く違うことが口をついて出てしまい、いきなりフリーズしてしまい、その後スピーチの苦手意識がなかなか払しょくできなかったという話をよくします。そうすると「スピーチコーチは昔からしゃべりが得意だったんだろう」という「特別感」が覆され、「コーチにもそんな過去があったのか。じゃあ私にもできるようになるかも」と感じてもらえるのです。

 このような、失敗、欠点、苦悩・フラストレーション、初めての体験、などをオープンに共有することで、聞き手はぐんとスピーカーであるあなたに距離が近づいてきます。これを4つのF、と覚えてください。Failures(失敗)、Flaws(欠点)、Frustrations(苦悩)、Firsts(初体験)、です。

 スピーカーとしてのあなたの役割は、聞き手に、「このプロセス(フォーミュラ、ツール、レシピ……etc.)を使えば、望まれる結果や最終的な効果が得られる」というメッセージを売ることである、ということをよく覚えておきましょう。そのためには、聞き手とつながることが必要です。

①人ではなく、プロセスにフォーカス
②プロセスを定量化
③4つのFを共有する

 次回スピーチを行う際はぜひ、この3つのツールに留意してみましょう。

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文化や言葉の壁を打ち破り、人々を魅了する、グローバル・パブリックスピーキング
リップシャッツ 信元 夏代(りっぷしゃっつ・のぶもと・なつよ)

アスパイア・インテリジェンス社 代表取締役
ブレイクスルー・スピーキング代表

リップシャッツ 信元 夏代  早稲田大学商学部卒。ゼミ専攻は「異文化コミュニケーションとビジネス」。NYUにてMBA取得。1995年に渡 米後、伊藤忠インターナショナルにて鉄鋼、紙パルプ業界の営業・事業開発に携わる。その後マッキンゼーに て消費財マーケティング・事業プロセス改革などの業務に携わった後、2004年に、事業戦略コンサルティング 会社のアスパイア・インテリジェンス社を設立。
 TEDxTalk スピーカー。2013年、2014年春季トーストマスターズインターナショナルの国際スピーチコンテス トでは、日本人初の地区大会優勝2連覇を果たしている。この経験を受け、2014年9月にブレイクスルー・スピ ーキングを設立。グローバルに活躍したい日本人のためのグローバルパブリックスピーキングのE-learningプ ログラムを中心に、個人コーチングセッション、企業内研修等も行う。
BREAKTHROUGH Speaking: http://www.btspeaking.com

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。