パブリックスピーキングは習得しうる “スキル”

 海外で通用するパブリックスピーキング、というと、英語を勉強しなければ!と考える人が多いものです。しかし、ノンネイティブである私たちにとって、ネイティブと対等に話せる英語力を養うのは至難の業。一方でパブリックスピーキングは、習得しうる“スキル”です。

 パブリックスピーキングの極意は、聞いている相手がたった一人の営業相手でも、何百人の聴衆でも、彼らの心を捉えて放さず、心を大きく動かす、ということです。実はそこに言語力はあまり必要ではありません。どの言語を使う場合でも、パブリックスピーキングのスキルの上達にフォーカスすることで、今あなたが持っている言語力のままで、異文化の人相手でも、格段に伝わりやすいスピーチを実現することができるのです。それこそが、グローバル・パブリックスピーキングです。

 本コラムでは、グローバル・パブリックスピーキングのコツをご紹介していきます。

 良いスピーカーと、秀逸なスピーカーの大きな違いはなんでしょうか。

 良いスピーカーは、観客から良い反応を引き出すことができます。しかし秀逸なスピーカーは、良い反応を引き出すのはもちろんのこと、観客を、次なる行動へと結びつけることができます。次なる行動とは、「買う」「次のミーティングアポを取る」「提案した内容を実践してみる」など、観客が会場を出た後になんらかの行動を確実に取るように促すことです。まさに相手を動かすことのできるスピーチです。

 相手に伝わる、だけでなく、相手を動かすスピーチに仕上げるためには、どのようなコツがあるのでしょうか?

 そのコツを一つ挙げるならば、最も説得力のある言葉を使い、相手の心を大きく揺さぶることです。

最も心を揺さぶる、説得力ある言葉とは?

 アリストテレスは、「人が説得されるためには、エトス(倫理的アピール)、ロゴス(論理的アピール)、パトス(情緒的アピール)の3つがそろわなければならない」と言いました。

 ビジネスプレゼンでよくみられるのは、エトスとロゴスはそろっているが、パトスが弱い、というケースです。

 TEDトークやその他のインスピレーショナル・スピーチならパトスが必要でも、ビジネスの場で感情に訴えかけることはさほど必要ではない、と思われがちですが、それは大きな落とし穴です。「結果を出す」必要があるビジネスプレゼンこそ、相手の感情に響かせ、その心を揺さぶり、「そうだ! これがソリューションだ! やってみよう!」と感じてもらわなければ、相手は行動に移してくれません。

 そこで相手の心を揺さぶり、説得力を最大化することができる言葉があります。

 「Most people(ほとんどの人たち)」です。

 なぜなら、人は、得たいモノ・自分が実現したいことと、現実または「望ましくない状態」とのギャップを見せられると、心が揺さぶられ、当然、望ましくない状態から脱出したい、と強く思うものだからです。多くの自己啓発本でも、「Most people」は〇〇をしていないから、このような状態である。だから、〇〇をすれば、あなたは、「Most people」から脱出でき成功につながる! という図式が使われています。