②スピーチ全体を通して伝えたいことをピンポイントに絞り込むべし!

 スピーチには必ず、全体を通して一貫して伝えたいメッセージと、それをサポートするいくつかのポイント(サブメッセージ)があります。ブレイクスルースピーキングでは、前者を「One BIG Message」、後者を「Main Point」と呼んでいます。今回のブートキャンプでは改めて、「One BIG Message」を引き出すことの重要さと難しさを認識しました。

 例えば、「オーセンティックな自分をさらけ出すことが大事」というメッセージがOne BIG Messageだと考えているとしましょう。しかしスピーチ内では「今の自分を愛そう」「不完全な自分を受け入れることで自己肯定感が高まる」「弱みを受け入れることで強くなる」「どうやったらオーセンティックになれるのか」などなど、微妙にニュアンスが異なる表現が散在していたとしたら、明確なメッセージは当然伝わらず、印象が薄くなってしまいます。筆者がクライアントをコーチングをしている時にも、このようなケースは頻繁に見られます。

 実際のケースをお話しします。冒頭では「わが社の観光パッケージの良さをお伝えします」と言っていたのが、最後には「わが社の観光パッケージはエージェントの皆さまに利益を生みます」で終了しており、伝えたいのは「(旅行者にとっての)パッケージ内容の良さ」なのか、「(エージェントにとっての)利益率・事業性の高さ」なのか、2つの異なるメッセージが存在してしまっていただけでなく、メッセージを訴えかけるターゲットまでずれてしまっていたことにまったく気づいていなかった、というケースがありました。このように書いてみると、このズレが明らかなように聞こえますが、「自社商品・サービスの良さはたくさんあるから全部伝えたい!」と頑張れば頑張るほど、実はメッセージの幅が広がり過ぎてしまって、効果を大きく損ねてしまう、ということは日常茶飯事です。

 伝えたいOne BIG Messageは何なのか。ターゲットもメッセージも絞り込み、具体的にイメージできるレベルにまで落とし込むことができているか、スピーチを構築していく段階で常に意識していることが大切です。

③自分らしさを見つけること!

 「ナツヨイズム」という言葉で表現されていましたが、自分自身のスタイルを見つけることで、ほかの人にはまねのできない、ユニークかつ価値の高いスピーチに仕上げることができます。自分自身のスタイル、とは、デリバリースタイルももちろんですが、自分らしい言い回し、ほかの人にはない視点や体験の共有などから構築されるものです。ですから、憧れのスピーカーの原稿をまねたりスタイルをまねることは、ある程度の参考にはなるかもしれませんが、「人のまね」で価値を生み出すことはできません。

 筆者もクライアントをコーチングする場合、この点に非常に留意してコーチングしています。筆者には自然な言い回し・スタイルでも、クライアントがそのまま原稿に取り入れてみると、なんとなくしっくりこない、というような場合、クライアント自身の言葉で、どのように表現できるのか、どうしたら自然に口をついて出るのか、それを一緒に探っていきます。