1000回の練習ができるか?

 そういえば役者さんだけではありません。優れたプレゼンテーターといわれる各界の人々も同様なのです。

 例えばTEDスピーカーのひとりで、350万View数以上の人気スピーチを行った、ドクター・ジル・ボルトテイラーも、18分のスピーチに向けて200回ものリハーサルを行ったそうです。18分で200回。スピーチが長くなれば、リハーサルの回数も増やす必要があるでしょう。あえて単純計算するならば、1分につき、約11回の練習をする計算になります。もしみなさんが、3分間のスピーチをするならば、33回の練習です。1時間のスピーチなら、660回です。

 かの有名なSteve Jobsも同様です、プレゼン前に信じられないほどの数のリハーサルを重ねたそうです。自然にその場で思いついたような語り口は、実は緻密に設計され、何百回と繰り返された練習の賜物なのですね。

 現在、グローバル日系企業のトップの方々にスピーチのアドバイスをさせていただく機会も多いのですが、何千人もの観客を前にした年間最大のプレゼンの場でさえ、原稿があがるのが(しかも他部署が書いた原稿)1~2週間前、練習は、片手で数えられる程度にすぎない、というのを伺って愕然としました。およそ1時間半のプレゼンです。上記の計算ならば、約1000回の練習をしていなければならないはずです。

 スピーチに限らず、何かに卓越するには、想像を絶するような地道な努力、そしてそれを絶対にやる!という覚悟が必要なのだと思います。みなさんの覚悟はいかほどでしょうか?

リップシャッツ 信元 夏代(りっぷしゃっつ・のぶもと・なつよ)

アスパイア・インテリジェンス社 代表取締役
ブレイクスルー・スピーキング代表

リップシャッツ 信元 夏代  早稲田大学商学部卒。ゼミ専攻は「異文化コミュニケーションとビジネス」。NYUにてMBA取得。1995年に渡 米後、伊藤忠インターナショナルにて鉄鋼、紙パルプ業界の営業・事業開発に携わる。その後マッキンゼーに て消費財マーケティング・事業プロセス改革などの業務に携わった後、2004年に、事業戦略コンサルティング 会社のアスパイア・インテリジェンス社を設立。
 TEDxTalk スピーカー。2013年、2014年春季トーストマスターズインターナショナルの国際スピーチコンテス トでは、日本人初の地区大会優勝2連覇を果たしている。この経験を受け、2014年9月にブレイクスルー・スピ ーキングを設立。グローバルに活躍したい日本人のためのグローバルパブリックスピーキングのE-learningプ ログラムを中心に、個人コーチングセッション、企業内研修等も行う。
BREAKTHROUGH Speaking: https://www.btspeaking.com

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。