コロナ禍の中、ウェビナー形式で開催した令和2年度の「サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)」シンポジウム。最後に、これまで4年間の振り返りと令和3年度の事業展開、さらに今後、望まれる提案について、日経BP総合研究所の安達功所長が、神奈川工科大学の一色教授と国土交通省の高木直人氏に聞いた。

[動画]今後のサステナブル住宅事業の展開について
  • 【パネリスト】
    • 一色 正男 神奈川工科大学 教授
    • 高木 直人 国土交通省 住宅局 住宅生産課 住宅ストック活用・リフォーム推進官
  • 【モデレーター】
    • 安達 功 日経BP 総合研究所 所長

──最後にまとめとして、今後の「サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)」の展開について、一色教授と国土交通省の高木さんにお話を伺いたいと思います。

モデレーターを務める日経BP総合研究所の安達功所長(枠外左)。パネリストは、国土交通省住宅局住宅生産課 住宅ストック活用・リフォーム推進官の高木直人氏(左)、神奈川工科大学の一色正男教授(右)(写真:日経BP 総合研究所)

平成29〜令和2年度の4年間の事業を振り返って

──まず、4年間の本事業を振り返っていかがでしょうか。

一色(神奈川工科大学):この4年間で、多様な機器が現われ、そしてそれを利用する機会が増えたと感じています。この事業を通じて、それを実感できたことが非常に有益でした。各採択事業者の発表の中で、「これをもっと多くの方々にも使ってもらえるようにしていきたい」という言葉を聞いて、大変心強く思いました。ぜひこれからも頑張ってほしいと思っています。

──同感です。多様な機器やサービスを創り出し、実証して、さらにそれを広めていくという試みこそが、この事業の目的だといえるでしょう。

 高木さんはいかがでしょうか。

高木(国土交通省):4年間で数多くの先導的な提案・多様な提案をいただけたと感じています。本事業においては次世代住宅の普及に向けて、一定の成果があったのではないかと考えています。

──本日は14の採択事業について報告いただきましたが、この4年間でかなりバラエティーに富み、かつ先進性のあるユニークな提案が集まったと思います。

「サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)」でこれまでに採択した14の事業(資料:日経BP総合研究所)
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令和3年度の事業展開について

──引き続き、令和3年度の事業展開について、国土交通省の高木さんにお伺いします。

高木(国土交通省):現在、国土交通省住宅局では、令和3年3月の閣議決定を目指して、住生活基本計画の改定作業を行っているところです。そこでも、IoT技術などを活用した高齢者の見守りや住宅管理などについての議論が進められています。これには、新たな日常やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展に対応した新しい住まい方の実現に向けた議論も含まれています。

 次年度について、本事業は令和3年4月中には公募を開始したいと考えています。本日のシンポジウムの議論や住生活基本計画の内容を踏まえながら、また、一色教授にも引き続きご指導をいただきながら、時代に沿った形での事業が展開できればよいと考えています。

──新たな住まい方の実現、あるいはDXの導入といったところも視野に入れながら、この事業は4月からまた募集が開始されるわけですね。

高木:はい。よろしくお願いします。

今後、事業者に望む提案とは?

──本日このシンポジウムをご覧になっている方の中には、「エントリーしよう」とやる気にあふれた方々が相当数いらっしゃると思います。

 ここで評価委員会の委員長を4年間務めてきた一色教授に、来年度以降どのような提案が望まれているか、アドバイスをいただけますでしょうか。

一色(神奈川工科大学):国が肝いりで進めるモデル事業ですので、ぜひ色々な挑戦をしていただきたいと思います。

 すぐに居住する住宅ではなくとも、例えば展示場なども事業の対象だと考えています。 ほかにも「インターフォンとの連携などごく簡単な機能を、これから建てる100戸に導入してみる」といった背伸びしないでもできる範囲の提案も、導入と普及へのトライになるのであれば対象となります。

 「地域での頑張りも応援したい」と高木さんと話していますので、地域の工務店を元気にする提案や、地域を盛り上げるような提案も見られればうれしく思います。

 この事業を「新しい挑戦」の絶好の機会ととらえていただき、全国から、IoT・スマートハウスなどの次世代の住宅をご提案していただければと思います。挑戦に際しては、多くの支援事業者がおりますので、それらも活用してください。

──我々日経BPはこの事業の評価事務局として4年間、評価委員会の議論を見てきました。

 議論の中では、例えば「これからのストック時代に必要となる維持管理にフォーカスして、もう少し実験的な試みをサポートする必要があるのではないか」といった意見や、先ほど高木さんがおっしゃった、「新しい暮らし方・住まい方、あるいはDXを意識した働く場所としての住まいなども視野に入れたらどうか」という提案もありました。

 しかし、難しく考える必要はありません。先ほど、一色教授がお話しになったように、この事業は最先端技術のエントリーだけを望んでいるかといえば、そうではありません。

 技術はどんどん進化しています。最先端の技術を一部の人だけに留めずに、一般の工務店や消費者に伝えるような取り組みも重要な事です。本事業では、次世代住宅の普及啓発につながる提案も歓迎しています。

 先ほど高木さんからお話がありましたように、この事業は令和3年4月中旬頃から次回のエントリーが始まる予定です。

 今後も今まで以上に、この事業への注目は高まっていくと思います。積極的なエントリーをお待ちしています。