今回のシンポジウムに先立ち、日経BPコンサルティングでは、主に仕事でIoT住宅に携わっているビジネスパーソンを対象に「次世代住宅に関するニーズ調査」を実施した。この調査の目的は、次世代住宅に対する理解度・期待度・イメージなどを把握し、今後の次世代住宅普及施策を検討するための指針として活用することだ。ここではその調査結果について、その一部を速報的に紹介する。

[動画]日経BPコンサルティング ブランド本部 高橋健太朗本部長
ウェビナーシンポジウムにおいて、ニーズ調査の概要発表する日経BPコンサルティングの高橋健太朗本部長

 最初に、本調査の目的・実施方法など調査概要について説明します。この調査は、IoTなど新しい技術を活用した次世代住宅に対する理解・イメージなどを把握し、今後の次世代住宅普及施策を検討するための参考情報として活用することを目的としています。

 今回の調査対象は、IoT関連技術に関わる企業・組織、または住宅事業に関わる企業・組織に所属するビジネスパーソンの方々です。具体的には、弊社が保有する会員リストや、過去に「サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)」にお問合せいただいた方などに告知し、インターネットを利用して394人の方から回答を得ました。調査時期は2022年1月下旬から2月上旬までです。

「次世代住宅に関するニーズ調査」の調査概要(資料:日経BPコンサルティング)
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調査の回答者について

 調査結果に入る前に、回答者のプロフィールについてご紹介します。今回はIoT関連技術、または住宅事業に関連する業種を中心に回答をお願いしました。結果、回答者の業種は「建設・不動産」および「情報処理、ソフトウェア、SI・コンサルティング」「通信サービス」「電子・電気機器」「製造業」などが多くなっています。

「次世代住宅に関するニーズ調査」回答者のプロフィール(業種)(資料:日経BPコンサルティング)
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  調査において「IoT住宅」とは、「IoT技術などを活用して健康管理の支援、家事負担の軽減・時間短縮などを可能にし、居住・生産環境の向上が図れる住宅」と定義しました。そのうえで、IoT住宅に携わった経験を尋ねた結果が下の円グラフです。

「次世代住宅に関するニーズ調査」回答者のプロフィール(IoT住宅への携わり方)(資料:日経BPコンサルティング)
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 全体の約4割がIoT住宅へ携わったことがあると回答しています。その4割の方々をベースに、携わり方を示したのが右の棒グラフです。

 今回は建築系だけでなくIT関連系も調査対象となっているので、携わり方としては「IoT技術やIoT製品の開発」が最も多く、以下「住宅へのIoT技術やIoT製品の提供」「住宅に用いるIoT技術の開発」の順に多くなっています。

様々な分野での活用に期待がかかる

 では、調査結果の一部をご紹介します。下の図はIoT住宅の価値の認知状況を確認するために「IoT住宅が暮らしの豊かさに寄与するか」、また「今後IoT住宅のニーズは高まるか」について尋ねた結果です。

「IoT住宅の価値の認知」の調査結果(資料:日経BPコンサルティング)
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 左のグラフは、住宅のIoT化が居住者の暮らしの豊かさに寄与するかについて、5段階で質問した結果です。「とてもそう思う」が32%、「ややそう思う」と合わせた「そう思う」の合計は80%に達しています。現在IoT住宅に関わっていない回答者も含めて、多くのビジネスパーソンは、IoT住宅が暮らしの豊かさに寄与することを認めた結果となりました。

 右のグラフは、今後IoT住宅のニーズが高まるかを尋ねた結果です。こちらについても、「とてもそう思う」の割合が約30%、「ややそう思う」と合わせた「そう思う」の割合が8割近くに達しています。

 次に、IoTを活用することで、「どのような分野において住生活の質を高めることができるか」に関連して尋ねた結果が下のグラフです。

「住生活の質の向上に寄与する取り組みを行う可能性がある分野」の調査結果(資料:日経BPコンサルティング)
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 最も高いのは「省エネ化・省資源化・脱炭素」で56.1%と半数を超えています。続いて「防犯対策」が40%を超えています。

 ここで注目していただきたいのは、様々な分野において、IoT住宅が住生活の質の向上に寄与することを期待されている点です。バイタルデータを活用した健康管理の支援、防災、コミュニティの維持・形成、子育て支援、高齢者・障がい者等の社会的弱者への支援、物流効率化、テレワークなど変わりゆく新たな日常への対応等、多岐にわたる分野への活用が期待されているようです。

 IoT住宅が住生活の質の向上に寄与する場面は、多岐にわたることをお伝えしました。過去の「サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)」に採択された事例にも、様々なテーマのものがあります。例えば、芙蓉ディベロップメントから提案された「健康高齢者」をテーマにした事例や、一般社団法人ZEH推進協議会から提案された「子育て支援・家事負担軽減」をテーマにした事例など、バラエティに富んだ取り組みが見られます。

過去の「サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)」の採択事例(資料:日経BPコンサルティング)
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IoT住宅に積極的に取り組む企業は3割弱

 IoT住宅関連事業への取り組みについて「所属する勤務先がどのように考えているか」を調査しました。

 「どちらともいえない」もしくは「わからない」との回答が約5割を占め、およそ半数の勤務先は今後について未定と考えているようです。残りの5割については、「とても積極的」が9.1%、「やや積極的」と合わせると積極派が27.9%となります。一方、消極派は20.8%であり、積極派が上回る結果となりました。

「IoT住宅関連事業への取り組みに対する勤務先の考え方」の調査結果(資料:日経BPコンサルティング)
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 IoT住宅関連事業への取り組みに対する姿勢と併せて「積極的である理由」「消極的である理由」それぞれについて、自由記述方式で質問しました。寄せられた意見を集約した結果が下の図です。

「IoT住宅関連事業への取り組みに対して積極的または消極的である理由」の調査結果(資料:日経BPコンサルティング)
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 積極的である理由としては、「IoT住宅のニーズが高まるという判断」や「住宅への付加価値として」、「今後IoT住宅が当たり前になる」といった意見が多かったようです。

 一方消極的である理由としては、「ニーズの高まりが感じられない」という意見のほかに、「苦手意識」あるいは「そもそもよくわからない」といった、理解不足を杞憂する意見が目立っているようです。

次世代住宅への関心は約7割

 最後にご紹介するのは、「サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)」の認知度、興味・関心度に関する調査結果です。

 本事業はIoT技術などを活用して住宅の市場価値を高め、居住・生産環境の向上を図る取り組みを支援するために、国土交通省が2017年度から実施しているもので、取り組み費用の一部負担などの支援を行っています。

 今回、事業の概要を説明した上で、「サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)」の取り組みについても尋ねてみました。その結果が下の図の左のグラフです。

「サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)の認知度、興味・関心」の調査結果(資料:日経BPコンサルティング)
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 最初の回答者のプロフィールで、IoT住宅に携わったことがある方は全体の約4割と説明しましたが、本事業の認知率も約4割とほぼ同じ水準となっています。このうち、応募の経験あるいは応募を検討したことがある割合は6.6%でした。

 右のグラフは「サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)」への興味・関心度を示したものです。本事業に「非常に興味・関心がある」と回答した割合は5.3%、「興味・関心がある」と回答した割合が19%となっています。「少し興味・関心がある」まで含めると、「興味・関心がある」との回答は7割を超えるという結果が得られました。

 以上で調査結果の解説は終了となります。次のパネルディスカッションでも、本調査の結果を用いて、今後の次世代住宅のあり方について議論していきます。