日本で起業するメリットは「スピード」、デメリットは「特にない」

―― CureAppの治療用アプリは国際競争力を持っていると思います。海外での起業という選択肢もあったかと思うのですが、なぜ日本で起業したのですか。

佐竹 日本で起業するメリットは、スピードです。

 米国との比較でいうと、米国では「BlueStar」のFDA(米食品医薬品局)承認が2011年。その後、米Pear Therapeutics社やAkili Interactive社などが参入し、治療用アプリの開発はかなり盛んになっています。既に複数のFDAの承認事例も出てきました。日本では、2014年に従来の薬事法が医薬品医療機器等法に変わって、当社も2014年に参画し、5年が経って承認が下りました。

 米国のプレーヤーがアプリを開発してから薬事承認を取るまでの期間に比べると、日本のほうがコンパクトにまとまっていると思います。Pear Therapeutics社が2012年に始めて、薬事承認を取ったのが2019年ですから、日本のスピードは相当なものだと思います。

 その理由は、病院や研究機関や厚労省などの関係団体、関係者が物理的に東京1カ所に集まっているからです。ステークホルダーの理解を取り付けて支援を受けるといったことがスムーズにできます。実際、私も多くの学会や、厚労省、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)、医師会、保険者といった、様々な立場の方からご理解・ご支援いただけることができています。

 ただ、こういったメリットを見込んでいたというよりは、「日本発」でやりたいという思いの方が先に来ていました。

(写真:鈴木愛子)
(写真:鈴木愛子)
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―― 米国(FDA)と日本(厚労省)とを比較すると、日本の方が承認スピードが速いというのは意外です。日本の役所はやることが遅いというイメージを持っていたのですが。

佐竹 昔はそうだったのかもしれませんが、最近は改善されています。当社の治療用アプリに関しては、結果的には承認プロセスに1年3カ月と、それなりに長い時間がかかりましたが、PMDAは審査する立場ではありながら、治療用アプリの可能性に共感してくださり、しっかりご対応いただきました。

―― 逆に、日本で起業をする際に、デメリットを感じた点はありますか。

佐竹 これといってありませんが、ファイナンスの規模は米国が上ですよね。米国ではスタートアップが100億円を超える資金調達をする例も珍しくありません。当社これまでに約42億円の資金を調達しましたが、これでも日本では大型ということになります。