「お菓子のまち」を、そして「甘い地球」をつくりたい

――辻󠄀口さんが自分で選び抜いた素材を使って、自分でお菓子として仕上げていくわけですね。

辻󠄀口 そうですね。そして、その考え方は、お菓子をつくるということだけにとどまらず、一つのまちをつくっていくということにもつながっていきます。

 今、僕たちは三重県多気町に35万坪ぐらい土地を買って、そこに食や癒し、知をテーマにした複合施設「VISON(ヴィソン)」を開発しています。伊勢自動車道の伊勢方面からスマートインターチェンジ(多気スマートインターチェンジ)と直結した食と健康の複合施設です。このインターチェンジは、全国初の民間施設と直結したスマートインターチェンジです。多気町長と話をして、「土地を買わせてください。その代わり、(国などに働きかけて)サービスエリアにする最大限の努力をしてください」ということで、スタートした地方の土地に付加価値を付けていくプロジェクトです。

VISON(ヴィソン)
(資料:三重故郷創生プロジェクト)
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三重県多気町の依頼により構想がスタートした、商業、宿泊、温浴、体験、産直市場、農園などで構成される複合リゾート施設。今年度開業予定(公式サイト:https://vison.jp/)。敷地面積:約115万m2、開発面積:約53万m2、店舗数:約50店舗(予定)。事業体は合同会社三重故郷(ふるさと)創生プロジェクト(事業者:アクアイグニス、イオンタウン、ファーストブラザーズ、ロート製薬)。総事業費約200億円。名古屋から車で約1時間30分、伊勢神宮まで約20分。伊勢自動車道と紀勢自動車道が交わる勢和多気JCTから連結、伊勢方面からはスマートインターチェンジにより直結している。多気町は2017年1月に、美食の街として世界的に知られるスペイン・サンセバスチャン市と「美食を通じた友好の証」を締結。同市の人気バルが3店、ヴィソンに進出することも話題となっている。宿泊施設はアクアイグニス多気アセット(H.I.Sホテルホールディングスと住友林業による合弁会社)が保有・運営する。

 僕としては、ここでは大好きなお菓子づくりをしっかりと安定的に表現していくことが非常に重要だと思っています。そして、優れたコンテンツを一緒に展開していこうとしている人たちを集める。僕自身が使ってみたいなと思える素材をつくる人たちに来てもらっています。みりん、醤油、酒、味噌といった発酵をテーマに、日本の食文化をぎゅっと凝縮した場所をつくっていきます。

(写真:鈴木 愛子)
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――まちをつくる、という中でも、辻󠄀口さんの発想は、そうやってお菓子をつくることに戻っていくんですね。

辻󠄀口 そうなんですよ。結局、まちをつくって不動産収入源も組み込むことでサステナブルな経営ができ、さらに面白いことができると思っているんです。将来は、本当にお菓子のまちをつくりたいんですよ。

 もっと言うと、甘い地球をつくりたい。これはネット上でつくりたいなと思ってるんですが――。