日本のスポーツチームからは、栃木県立佐野高校ラグビー部の石井勝尉監督と渡来遊夢キャプテンも会議に出席した。

 栃木県立佐野高校ラグビー部は、「学び・繋がり・存続」の3点が、競技力向上に加えて大事にしている課題意識であり、その課題意識の中で今回のフレームワークへの参加を表明。まずは「世界で起きていることを学びたい」という思いでCOP24への参加を強く希望した。

 「部活スポーツ」が日本の教育機関にはあるということ、そして日本ではその「部活スポーツ」に新しい気づきや学びが生まれることで次への具体的なアクションにつながる大きな力となりうる、ということが推薦のポイントであった。渡来キャプテンはCONCACAF(北中米カリブ海サッカー連盟)のカリーナ・ブランク女史から「生きる目的のあるプレーを」とのメッセージを受け、一言も漏らさぬように持参したノートに書き留めていた。彼にとって、大きな気づきを得る機会となったはずである。

スポーツがサステナブルな社会をけん引していくために

 パリ協定とSDGsが相互に深く連関しており、最終的には一つに収れんされて、気候変動問題への対策は他のあらゆる社会問題ともつながっていく――。COP24においては、こうした認識が既に世界共通のものになっていることが感じられた。会場においては、ジェンダーや先住民族、若者などの問題に取り組むNGOやNPOの参加があった。

 「Sports for Climate Action Framework」策定プロセスにおいても、「パリ協定とSDGsは、未来に向けて大きな機会を呼び込む世界が取り決めたビジョンである」という認識の下、現在スポーツに流れる資金や経済のバリューチェーンを持続可能な社会構築の方向にドライブしていくために、どのような社会経済モデルが考えられるかについても活発な議論がなされていた。

 そう考えると、スポーツ界が気候変動問題に取り組もうとする場合もまた、その対策はあらゆる社会問題とつながっていくはずだ。スポーツによるSDGs実現への取り組みは気候変動問題の解決のみならず、社会変革・産業革新の呼び水となり、新しい価値観を生み出し、今まで我々が考えてこなかったような新しいビジネスの創出、そして雇用増につながっていく可能性が大いにある、ということである。

澤田 陽樹(さわだ・はるき)
一般財団法人グリーンスポーツアライアンス代表理事
澤田 陽樹(さわだ・はるき) 1978 年生まれ。京都大学経済学部を卒業し、2002年三菱商事株式会社化学品グループ配属。国内での化学品事業を経験後、台湾三菱商事、ドイツ三菱商事など、世界で化学品事業に従事。2017 年三菱商事を退職し、一般財団法人グリーンスポーツアライアンス(GSA) を設立し、持続可能な新ビジネス創出に挑戦中。2018 年 8 月国連 Global Climate Action Head より活動に感謝状を受領。12 月にはCOP24 Katowiceに招待参加。京都スマートシティ EXPO2018 や第 6 回「スポーツ国際開発」 国際シンポジウムに登壇。その他、講演多数。
米国Green Sports Alliance
米国Green Sports Allianceは、2010年、マイクロソフト社の創設者の一人であるポール・アレン氏によって設立された非営利法人。スポーツを通じて健康で持続可能な社会を構築することを使命に、スポーツによる社会課題解決・SDGs実現の取り組み事例を広く社会に提供する活動を続けている。創立9年となり、メンバー団体(プロ・アマのスポーツチーム、学生チーム、スポーツリーグ、スタジアム・アリーナ等の運営管理団体、協賛企業、NPO/NGOなど)は600超。加盟プロリーグは15団体を超えている。