ポール・アレン氏が始めた新しいスポーツへのアプローチ

 「ポール・アレン氏が1988年にNBAのポートランド・トレイルブレイザーズを買収した時、チームには新しいアリーナが必要であることが明らかでした」――。トレイルブレイザーズでサスティナビリティ実現へ取り組むチームを率い、その後2014年から2018年までGreen Spots Alliance代表理事を務めたジャスティン・ジールナー氏の言葉である。

ジャスティン・ジールナー氏(写真:ジャスティン・ジールナー)

 1999年からアレン氏の投資会社である米バルカン社で、アレン氏とともに働いていたジールナー氏はこう振り返る。

 「アレン氏にとって、ポートランドがテクノロジー、イノベーションやサスティナビリティのリーダーであることを、チームのファンも含めた地域コミュニティに示すことが重要でした。よって、現在、『モーダ・センター』と呼ばれている、トレイルブレイザーズの本拠地アリーナの建設計画を立てる時、ポールは既に後の『グリーンビルディング』に繋がるような考え方を持っていたのです」

 アレン氏は9年後に買収したNFLのシアトル・シーホークスの本拠地、センチュリーリンク・フィールドの建設についても、その情熱は少しも衰えることなかった。街全体を文化の中心地に変えることに、当時の彼の莫大な財産のほとんど(約261億ドルにも上ったとも言われている)を注ぎ込んだ。そして、2002年、環境に配慮したスタジアムとして「センチュリーリンク・フィールド」がオープンした時、ポール・アレンの名はグリーン・リーダーとして確固たるものになったのである。

 現在、新しく建設されるスタジアムやアリーナで再利用されるリサイクルコンクリートやスチールの循環型経済コンセプトは、アレン氏と米バルカン社による「スポーツ施設のグリーニング」の努力によって普及した取り組みの一例となっている。それだけにとどまらず、センチュリーリンク・フィールドはオープン後10年の間に、前述のようにスタジアム施設に隣接するイベントセンターなどの屋上にソーラーパネルを設置したり、様々なアイテムのリサイクルやゴミの堆肥化、施設への来場手段に自転車を奨励したりするなど、試合の環境配慮性を高めた「グリーンゲーム」化を進めている。