求められる高い目標設定と迅速な決断、そして実行するリーダーシップ

 「街の中心として新たにつくり上げるサステナブルなこのスタジアム建設には大きな困難が伴いました。建設スケジュールの問題、そして予算の問題がありました。これらはプロジェクトの質に大きな影響を与えるのです。しかしアーサー・ブランク氏は少しの時間的猶予も目標を下げることも許しませんでした。私たちはLEEDポイントが一つでも獲得できる可能性のある決断をするときには、必ず彼に報告し、話し合いました。私たちは退路を絶って前に進むしかなかったのです」とスコット・ジェンキンス氏は振り返る。

 住宅リフォーム・建設資材・サービスの小売チェーン最大手で、ジョージア州に本社を置くホーム・デポ社の創設者として一代を築いたアーサー・ブランク氏は、経済的に割に合うのか合わないのかという議論を続けるのではなく、人間として正しいことをすれば必ず最後に経済の帳尻は合うとの信念で、同スタジアムに15億ドルの資金を投入した。

スコット・ジェンキンス氏(左)とアーサー・ブランク氏(右)(写真提供:ベースボール・マガジン社)
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 「当初私は、このプロジェクトを『実現可能だ』と言ってくれる人を見つけることができませんでした」とスコット・ジェンキンス氏は語る。前任地の米国北西部シアトルと比較すると、赴任当時のアトランタのサスティナビリティに対する意識はそこまで高くなく、企業からの賛同を簡単に得ることが難しかったからだ。アトランタでは、まず社会課題への気付きの醸成、サスティナビリティ実現への取り組みが地域コミュニティにポジティブなインパクトを及ぼすことを説いて回る必要があった。

 プロジェクトの風向きが変わったのは、地元の再生可能エネルギー会社、ジョージア・パワーとの取引契約が成立したことがきっかけだった。