会津若松からスマートシティモデルを全国展開へ

 都市OSの標準化、オープンデータなど、デジタル化への理解が進んだ会津若松だからこそ、新しい実証フィールド(*2)を求めて首都圏や海外からの企業の機能移転につながっている。アクセンチュアの中村氏は「スマートシティに必要なデジタル人材の専門性が変化してきており、スマートシティに欠かせないAPIエンジニアやデータサイエンティストが日本にはまだ不足している」と言及し、会津若松スマートシティでは会津大学との連携により、「地域で育成したデジタル人材が確保できることも企業にとってメリットになっている」と語った。

*2 例えば最近では、AiCTに入居するオリックス自動車が2021年3月、AiCT入居企業の従業員および関係者に利用者を限定してのカーシェア実験を開始している(発表資料

 現在も会津若松スマートシティでは、さまざまな実証プロジェクトが動いている。ヘルスケア分野では、会津地域全体をバーチャルな医療機関と捉え、市民の健康状態をAIで把握し、疾患や症状に最適な医師や病院をマッチングする包括ケア体制の構築が進む。防災分野においても、デジタル化で災害被害を最小化するソリューションとして、災害時に市民のスマートフォン位置情報から最適な避難所に誘導する仕組みを2021年2月末より試験導入している。こうした取り組みに並行して、内閣府が推進するスーパーシティ構想にも応募する予定だ。

スーパーシティ構想応募を宣言する市のウェブページ
スーパーシティ構想応募を宣言する市のウェブページ
会津若松市のスーパーシティ構想への応募に向けた体制(「会津若松市スーパーシティ構想に係る事業案 令和3年2月12日時点」(会津若松市)より
会津若松市のスーパーシティ構想への応募に向けた体制(「会津若松市スーパーシティ構想に係る事業案 令和3年2月12日時点」(会津若松市)より
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徳永 太郎(とくなが・たろう)
日経BP 総合研究所 社会インフララボ所長
徳永 太郎(とくなが・たろう) 1989年、日経BP入社。日経アーキテクチュア、日経不動産マーケット情報編集長、日経ビジネス副編集長などを経て、2017年から日経BP 総合研究所 ビジョナリー経営ラボ所長。2019年1月より現職。不動産流動化・賃貸オフィスマーケット分析や都市開発などの分野に関する分析・調査を担当。著書に『スマートシティ2025 ビジネスモデル/ファイナンス編』(共著)など。