吉備中央町・茅野市・加賀市の提案のポイント

■吉備中央町
 吉備中央町の構想では、救急救命士の権限・役割を拡大して救急体制の充実を図る取り組みが目を引く。地域の医療機関や消防署と連携しながら、医師の指示の下で救急救命士が行う救命処置を拡大し、「傷病者情報(生体・環境情報)の収集」「情報収集の伝送」「無侵襲行為(超音波検査など)」の実施を想定している。まずは岡山大学病院と岡山市消防局で実証実験を行う。このほか、マイナポータル情報と母子健康手帳の情報を組み合わせて、「子どもの健康情報の一元管理」「妊産婦健診など予防医療との混合診療」も推進していく。

吉備中央町の「救急救命士の権限・役割の拡大」の取り組み(出所:内閣府)
吉備中央町の「救急救命士の権限・役割の拡大」の取り組み(出所:内閣府)
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■茅野市
 茅野市では、在宅医療に特化した看護師の役割を拡大する。地域の医療機関、診療所、訪問看護ステーションなどと連携し、患者の在宅医療において、事前に医師と相談して決めた包括的指示の下で、一定の研修を経た看護師が自身の判断で医療行為を実施できるようにする。想定する医療行為としては、便秘への対処、鎮痛剤投与、酸素投与、超音波検査などがある。茅野市の諏訪中央病院と、3つの訪問看護ステーションで実施する予定だ。

 また、「タクシーの貨客混載運送による医薬品配送」にも取り組む。2017年の規制改正で一定条件のもとでの貨客混載運送が可能となったが、「発着地がタクシー事業者の営業区域内であり、かつ過疎地域であること」が要件となっており、過疎地域ではない市内では実施できないという課題がある。健康特区では、医薬品の配送に限って、発着地が過疎地域でなくても貨客混載運送ができるようにする。

茅野市の「看護師の役割拡大」の取り組み(出所:内閣府)
茅野市の「看護師の役割拡大」の取り組み(出所:内閣府)
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■加賀市
 加賀市の構想では「医療版情報銀行」の構築で規制改革を進める。患者の同意を得て、フレイル(心身が弱った状態)、ロコモ(「移動」する機能が低下した状態)対策に関する健康医療情報を情報銀行に提供してもらうため、加賀市内の特定の医療機関に対して健康医療情報データベースのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の公開を条例で義務付ける。対象医療機関は、加賀市内のフレイル予防、ロコモ対策に関連する内科及び整形外科の医療機関だ。現在、加賀市医療センター、加賀市医師会と連携して、個別の医療機関と調整を進めている。

 加賀市では、マイナンバーを活用した交通弱者支援も注目に値する。地域公共交通を利用する際に、マイナンバーカードによる公的個人認証を行うとともに、免許返納情報や所得情報などの各種データも活用する。運転免許の自主返納者、ひとり親家庭、低所得者、学生、障害者、高齢者、失業者といった利用者情報に応じて最適な運賃と運行計画、配車を実現する。交通弱者が無料や割引料金でタクシーなどに乗車するなど、誰もが移動しやすい環境を構築する。

加賀市の「医療版情報銀行」の取り組み(出所:内閣府)
加賀市の「医療版情報銀行」の取り組み(出所:内閣府)
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