<参考>デジタル田園都市国家構想の交付金対象事業も決定

 そもそもスーパーシティや健康特区が先導する「デジタル田園都市国家構想」とは、デジタル実装を地方の活性化につなげ、持続可能な経済社会の実現を目指すもの。2021年度補正予算と2022年度当初予算案を合わせて総額5兆7000億円を投入する壮大な計画だ。ポイントとなるのは、地方に「ミニ東京」をつくるという発想ではなく、日本中にデジタル化のメリットを享受できる新たな地方像を形成していくこと。各地域の特性に合わせたデジタル化を進めることによって地方と都市の差を縮め、「地方から国全体へのボトムアップの成長」を促進する狙いがある。

デジタル田園都市国家構想の取り組みイメージ(資料:デジタル庁)
デジタル田園都市国家構想の取り組みイメージ(資料:デジタル庁)
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デジタル田園都市国家構想関連施策の全体像(資料:第2回デジタル田園都市国家構想実現会議)
デジタル田園都市国家構想関連施策の全体像(資料:第2回デジタル田園都市国家構想実現会議)
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 構想では、主に「4つの視点」に基づいて進められる。まず、デジタル基盤となる高速・大容量の通信規格の5Gやデータセンターなどのインフラ整備。日本を一周する海底ケーブルを整備し、3年ほどで「デジタル田園都市スーパーハイウェイ」を構築する。5年ほどで十数カ所の地方データセンター拠点を設置して地方分散を進め、2023年度までに5Gの人口カバー率を9割まで引き上げる。

 2つめは、地域で活動するデジタル人材の育成。2026年度までに230万人の確保を目標に、大学などでの教育や離職者向けの職業訓練、専門性の高いデジタル人材のマッチングなどの施策に取り組み、段階的に人材育成を図る体制を整備する。同時に、転職せずに地方で働ける人材を増やすため、地方にサテライトオフィスを設ける企業や団体を交付金によって支援する。

 3つめは、交通・農業・産業・医療・教育・防災などの分野で、地域の課題を解決するためのデジタル技術やサービスの実装。地域のビッグデータの活用や、スマート農業、遠隔医療、MaaSによる移動サービスなど、効果的なデジタル実装に取り組む自治体への支援を拡充し、2024年度末までに1000団体に増やす。

 4つめは、デジタル田園都市国家構想のコンセプトでもある「誰一人取り残されないデジタル社会」のための取り組み。高齢者や障害者、被災者など、デジタル技術を活用したサービスの利用が困難な人を支援する「デジタル推進委員制度」を開始し、2022年度に全国で1万人以上を配置する。

 これらの「4つの視点」に取り組む自治体を、国は様々な施策で支援していく。そのために、「デジタル田園都市国家構想推進交付金」制度を創設。「デジタル実装タイプ」(関連記事)と、サテライトオフィスの整備など「地方創生テレワークタイプ」の二つのタイプに分けて、交付金を支給する。

 3月18日には、交付対象事業も決定した。「デジタル実装タイプ」には403自治体の705事業(対象事業費計244億円)、「地方創生テレワークタイプ」には101自治体の111事業(同48億円)について、国費ベースで両タイプ合計152億円を支援する。スマートシティも対象となるデジタル実装タイプの主な採択事例としては、以下のようなものがある。

  • 「すべての市民のための窓口サービスデザイン事業」(兵庫県豊岡市)
  • 「県民活動のWebマッチング支援」(群馬県)
  • 「障害者テレワークロボット就労促進費」(長崎県長崎市)
  • 「遠隔合同授業「上島モデル」」(愛媛県上島町)
  • 「ワイヤレスセンサー等を用いた住民参加型警戒・避難システム導入事業」(神奈川県小田原市)
  • 「ドローンを活用したスマート物流構築事業」(福井県敦賀市)
  • 「陸前高田市森林資源航空レーザー計測及び森林解析」(岩手県陸前高田市)
  • 「デジタル技術を活用した文化振興と魅力発信プロジェクト」(岐阜県)
  • 「自律航行機能付き小型EV船によるオンデマンド輸送サービスの実装」(広島県)
  • 「スマートスピーカーを活用した見守り機能による介護予防サービス」(大阪府河内長野市)
デジタル田園都市国家構想推進交付金の採択結果(出所:内閣府)
デジタル田園都市国家構想推進交付金の採択結果(出所:内閣府)
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 国は2024年度末までに、交付金による支援などによってデジタルの実装に取り組む地方公共団体の数を1000団体に引き上げる計画だ。