3.サービスの展開エリアをいかに広げるか

東京大学の関本義秀教授
東京大学の関本義秀教授
東京都の齋藤拓麻氏
東京都の齋藤拓麻氏

 3つ目の話題として庄司氏は、「MCRの利用可能なエリアが点在しているとなかなか使いやすいサービスにならないのではないか」と指摘した上で、サービスの展開地域の設定のあり方や、全国に広げる方法について、登壇者の意見を募った。

 東京大学の関本氏は、市民から見ると投稿できる場所とできない場所があるMCRの現状に対して、「どこでも投稿できるようになることが望ましいが、道路工区の管轄や行政の業務体制などが自治体によって異なるため、すぐに全国を網羅することは難しい」と語った。さらに「自治体職員が返信不要な投稿の方法など、導入の負担軽減を考える必要があるのではないか」との考えを述べた。

 一方、東京都の齋藤拓麻氏が、どこでも投稿できるようにすることは「投稿して改善された実績が見えなければ、逆にサービスの低下につながるので、(自治体ごとのリソースや体制などに応じて)慎重に進めるべき」との見解を示した。また、他のサービスとの連携の必要性についても言及。「すでに都内にはMCR以外のシステムを使用しているエリアがあり、お互いのシステムの照会や投稿内容の共有などで連携できると、相乗効果が生まれてサービスがより発展するのではないか」と提案した。

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 ディスカッションのまとめとして、東京大学空間情報科学研究センターの関本義秀教授は「MCRプロジェクトは、市民の認知、行政のモチベーション、社会での浸透などにおいて地道な活動が求められ、デジタル技術の開発と並行して新技術への社会の受容性を高めていく必要がある。避けてはならない側面と考え、活動を続けていきたい」と展望を述べた。

 東京都の宮坂氏は「協働のテクノロジーは、用途をどうつくっていくかが重要なポイントになる。素晴らしいサービスは、多くの人に利用され、試行錯誤しながら課題に対応し、より良いものに育っていく。MCRがそのきっかけになるよう、これからも一緒に頑張っていきましょう」とシンポジウムを締めくくった。

 よりオープンなシビックテックで、デジタル技術を駆使したサービスが生まれ、行政の働きかけによって市民がサービスを通してまちづくりの当事者となっていく。そして、市民がより良いまちづくりに向けて地域の課題解決を行政に働きかけていく――。MCRの取り組みから、スマートシティの市民協働には、そうした自律的好循環のプロセス確立の可能性も見えてくる。