国土交通省は3月30日、「居心地が良く歩きたくなる(ウォーカブルな)街路づくり」に向けた「ストリートデザインガイドライン」を公表した。同省が都市政策の重要課題に位置付けている「居心地が良く歩きたくなるまちなか」を支えるこれからの時代のストリートの在り方を示したものだ。都道府県・政令市に対する技術的助言に位置付け、市町村にも周知するよう求めている。

ガイドラインで対象とする「ストリート」の範囲 (資料:国土交通省)
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 ガイドラインは、2019年8月から20年2月まで7回開催された「ストリートデザイン懇談会」(座長:岸井隆幸 日本大学特任教授)の議論を踏まえて作成された。路面だけでなく、沿道を含め、人の視界に入る空間全体を「ストリート」と総称し、公民連携で人中心のウォーカブルな空間に改変する取り組みを求めている。

 ガイドラインは5章から成り、1章でストリート改変の意義と効果、2章でストリートの構成要素、3章で交通環境づくりを、おのおの事例を参照しながら解説する。4章は法律・予算・税制などの仕組み、5章は参考文献と事例だ。

ガイドラインの全体像と章の構成(資料:国土交通省)
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 1章では、都市は人と人との出会いや交流の場であり「中でも、街路は誰もがアクセ
スできる最も基礎的な公共空間である」と説明。ストリートについて、その改変の効果として「安全・快適」「店舗の売り上げ増加、地価下げ止まりなど都市経営への直接的寄与」「持続可能な地域づくり」「災害・復興拠点」「社会的包摂の実現」を挙げている。

 改変のプロセスには、公共先行で公民連携に発展するケース、民間の取り組みから公共による体制・制度整備に結び付くケースなど、様々なパターンがあり得るとする。公民が補完し合って、地域全体の環境変化を促す取り組みを求める。

 2章「人中心のストリートを構成する要素」では、ストリートを歩行者にひらく方法論について、(1)交通ネットワーク内でのストリートの位置付け・分類、(2)空間配分とデザイン・設え、(3)アクティビティや利活用のマネジメント、の3段階に整理し、それぞれガイドラインの2章・3章に対応させている。

 (1)については、3章「人中心のストリートを支える交通環境づくり」で説明。自動車交通や公共交通、駐車場といった都市交通環境の整備と連携、関連機関との協議について詳述している。

 (2)は2章前半に対応。ストリートには、通行のための「リンク」機能と滞在のための「プレイス」機能があるとし、双方を考慮した空間構成が重要と指摘する。デザイン・設えには維持運営の主体が関わることを理想とし、公民連携で社会実験を行いながらビジョンを共有することを求めている。

 (3)については2章後半で、ストリートにおけるアクティビティを例示、マッピング。これらを社会実験で試した上で、デザインや設えに反映したり、効果測定したりする必要性を強調する。また、ストリートにおけるプレイヤーの育成、市民の合意形成、キーマンとなるプロデューサーやプランナーの重要性、行政の姿勢や仕組みづくりなどについてもまとめている。