多岐にわたる関係者向けに“マニュアル”を作成

──さいたま市では、2008年にオープンした複合施設のプラザノースが、初めてのPFI事業とうかがっています。こちらも川田さんがご担当されたそうですが、そのときの経験から感じられたPFIの難しさについて教えていただけますか。

川田 まず予算取りが大変でした。PFIは比較的大型の事業が対象になり、最初に全ての予算化(設計建設・維持管理運営)が必要となってきます。そしてその一つ一つに根拠が求められます。例えばホールのピアノは、スタインウェイの製品を計画したのですが、「なぜこのメーカーなのか」を説明しなければなりません。

さいたま市地域中核施設プラザノース(写真:さいたま市)
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[施設概要]
名称 さいたま市地域中核施設プラザノース
建設地 さいたま市北区宮原町1丁目852番地1
最寄り駅 埼玉新都市交通伊奈線・ニューシャトル加茂宮駅から徒歩約5分
土地面積 26,015m2
延べ床面積 20,278m2
構造 RC造、一部S造、SRC造、免震構造
階数 地上4階
主要室 区役所、図書館、ホール、ギャラリー、セミナールームほか
開館 2008年5月1日
[PFI事業構成企業]
代表企業 鹿島
設計 日本設計
建設工事 鹿島、鉄建建設、スミダ工業、日立製作所
維持管理 アイル・コーポレーション、クリーン工房、SPDセキュリA
図書館運営 図書館流通センター
運営(図書館運営を除く) JTBコミュニケーションデザイン
ファイナンシャルアドバイザリー業務 三菱UFJリース、首都圏リース

──PFIの場合、総額だけをあらかじめ決めて、その内容については事業者の判断に任されているのではないのですか。

川田 最終的には民間の判断に委ねますが、事業者が決定する前に、予算取りをしなければなりません。財政部門と協議するときは、PFIといえども従来手法と同じように金額の根拠が必要になります。

──やはりお金の話は、ご苦労されるところですか。

川田 そこは苦労しますね。それから手続きの話。初めてのPFI事業ということで、条例や要綱にも整備されていない部分が多い。まずは関係部署に制度を理解してもらう必要があります。そこで基本的な事項から細かく解説した資料をその都度作って、関係者のところを駆け回りました。その手続きをまとめた資料がこれです。

(写真:さいたま市)
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──これ、全部で80ページくらいありますね。資料というよりマニュアルですね。

川田 内容の複雑さに加え、関係者も多岐にわたりますからね。庁内だと、意思決定は都市経営戦略本部、予算や契約手続きは財政局、人員や条例、議会関係は総務局などが関わってきます。各部署の担当者と話をする際には、市長や議会の立場を理解し、その考えをストーリー化した資料を作成し、担当者が上司に説明しやすいようにしてあげることもポイントですね。