人口20万人未満の中都市ながら、PPP手法を用いて市庁舎の建て替えを実現した千葉県習志野市。そして現在、同じくPPPにより、市庁舎整備を進めている千葉県八千代市。これらプロジェクトのキーパーソンとして、事業の推進を支えているのが、任期付職員として大手ゼネコンから行政マンに転身した井手潤一氏(八千代市総務部庁舎整備課主幹)だ。官民双方の立場を知る井手氏に、中小規模の自治体がPPP/PFI事業に取り組むうえでの課題についてうかがった。

八千代市 総務部 庁舎整備課 主幹 井手潤一氏(写真:日経BP総研)

──井手さんは現在、八千代市の任期付職員として、市庁舎の建替事業に取り組んでおられますが、進捗状況はいかがですか。

井手 八千代市本庁舎建替事業は、老朽化が進んでいる市庁舎新館と旧館を、新たな庁舎に建て替えるとともに、近隣にある教育委員会庁舎と上下水道局庁舎を集約しようというものです。2018年5月に建て替えの方針を決定し、今年の3月に基本計画を策定。2024年の開庁をめざしています。基本設計の事業者のプロポーザルが終わり、7月3日に契約候補者として梓設計が選定されました。(参考: 八千代市新庁舎等建設基本設計業務委託に係る公募型プロポーザルの選定結果

[施設概要]
名称 八千代市庁舎
建設地 千葉県八千代市大和田新田312-5
想定規模 延べ面積 約18,500㎡
移転・業務開始 2024年2月予定

──整備手法は、すでに決まっているのでしょうか。

井手 デザインビルド(DB)方式を予定しています。といっても通常のデザインビルドとは違って、庁舎の実施設計の一部については基本設計を担当した事業者にお願いして、残りの設計業務と施工とを一括にして事業者を募集します。

──実施設計を二つに分けるということですか。

井手 そういうイメージです。もう少し詳しく説明すると、実施設計のうち構造部分や設備関連など提案によるコスト削減の可能性が高い部分については、施工と一括にして、ゼネコンに発注します。実施設計の残りの部分、つまり施設の意匠と総合監修については、基本設計の事業者にお任せします。

 我々はこれを「スプリットデザインビルド方式」と勝手に名付けています。

──なぜそのような方法を採用されたのでしょう。

井手 一般的に基本設計を手がけた会社は、その後のデザインビルドに参加できないケースが多いのです。「DB方式の基本設計には旨味がない」という認識が各社にあり、基本設計に手を挙げる会社がなかなか集まりません。そこで今回は、基本設計を手がけた会社に、そのまま実施設計の一部(意匠)と設計の総合監修をお願いすることとしました。

──かなり珍しい手法なのでは?

井手 全国的に見ても、ほとんどないと思いますよ。沖縄科学技術大学院大学(OIST)を建設するときに似たような手法を採用したと聞いていますが、自治体の施設では初めてではないでしょうか。