1都3県:都心から20km圏内で転入超過の「勢い」が大きく鈍化

 まず、1都3県の自治体ごとの転入超過数について、「コロナ前」である2020年のデータ(2020年1月1日時点での過去1年間の転入超過数、以下同じ)を見てみよう。

1都3県・2020年(コロナ前)の転入超過状況(資料:日経BP 総合研究所)
1都3県・2020年(コロナ前)の転入超過状況(資料:日経BP 総合研究所)
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 東京駅を中心とした半径20km圏内(東京23区とその周辺の自治体)は、ほぼ濃い赤色(2000人以上の転入超過)だ。その外側の半径20~50km圏内では、中心部に比べて薄い赤色のところが多く、50kmに近付くと青色(転入超過数がマイナス=転出超過)の自治体が混じり始める。半径50km圏の外側では青色のエリアが目立つが、JR東海道線や高崎線の沿線など、距離の割に都心部への所要時間が短い一部の自治体では転入超過も見られる。

 一方、「コロナ後」である2021年のデータ(2021年1月1日時点での過去1年間の転入超過数、以下同じ)では、東京駅から20km圏内が「コロナ前」に比べてまだら模様になっている。赤色が薄くなる自治体が増えただけでなく、赤系(転入超過)から青系(転出超過)に変わった自治体も目立つ。一方、東京都心から20km圏の外側は、一見すると2020年と大きな傾向の変化はない。

1都3県・2021年(コロナ後)の転入超過状況(資料:日経BP 総合研究所)
1都3県・2021年(コロナ後)の転入超過状況(資料:日経BP 総合研究所)
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 「コロナ前」と「コロナ後」の差がよく分かるように、2つのデータの差分(2021年の転入超過数-2020年の転入超過数)を「増加・減少の『勢い』」の図にまとめた。赤系は転入超過数の増加(または転出超過数の減少)を示し、転入超過の勢いが強まった(または転出超過の勢いが弱まった)ことを意味する。青系はその逆だ。例えば東京都世田谷区では、2020年のデータでは9018人の転入超過、2021年のデータでは3275人の転入超過だった。2年とも転入超過だが、転入超過数の差がマイナス5743人なので、マイナス2000人以上を示す濃い青色の表示になっている。

1都3県の、転入超過の増加・減少の「勢い」(資料:日経BP 総合研究所)
1都3県の、転入超過の増加・減少の「勢い」(資料:日経BP 総合研究所)
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 この図を見ると、東京駅から20km圏内はほとんどが2000人以上のマイナスを示す濃い青の表示になっている。東京23区を中心とした都心部の人口増加の勢いにストップがかかっていることは明らかだ。20~50km圏は赤色と青色の表示が混在しているが、神奈川県では東京駅から50kmに近い自治体で赤色の表示が多く、埼玉県では20kmのすぐ外側に赤色の自治体が比較的多い。一方、東京都と千葉県では青色が目立つ。

 また、50km圏ぎりぎりに位置する神奈川県の湘南地区(鎌倉市、藤沢市、茅ヶ崎市)と、50km圏外にある千葉県の外房地区(大網白里市、白子町、長生村、一宮町)は赤色で示されている。ビーチのあるこれらのエリアは、「コロナ前」から「コロナ後」にかけて、都心部からの移住者が増えた可能性が高そうだ。