被災多い日本に学べ、震災・復興関連がインバウンド上位に並ぶ

兵庫県の「人と防災未来センター」(写真:兵庫県)
兵庫県の「人と防災未来センター」(写真:兵庫県)
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 本調査では、国内・海外別に視察件数を聞いている。海外からの視察が多い「インバウンド視察ランキング」において今回トップとなったのは、兵庫県の「人と防災未来センター」だった。全80件中、42件が海外の自治体や議員による視察であり、全体の半数以上を海外からの視察が占めている。

 この理由について兵庫県では、同センターが位置する神戸東部新都心(HAT神戸)の「地の利」を挙げている。HAT神戸には、防災や人道支援に関する国際的機関が多数あり、同センターとの連携活動が活発だという。

 例えば国際協力機構(JICA)と兵庫県が共同設立した国際防災研修センターが実施している防災研修では、人と防災未来センターの視察を共通プログラムに組み込んでいる。こうした国際機関との緊密さが、海外から多くの視察を呼び込んだと考えられるとしている。

 同センターは、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災の実状と教訓を学ぶことを主な目的として、2002年にオープンした。関連資料の収集や展示だけでなく、防災の専門家育成や被災地への派遣、関係者の交流にも取り組んでいる。ここ数年、日本に限らず、重大な被害が生じる自然災害が増加している。防災計画の策定は多くの自治体が頭を悩ませていることがうかがえる結果と言えるだろう。

 同センター以外にも、自然災害関連では大阪府の「津波・高潮ステーション」(9位)、「震災遺構仙台市立荒浜小学校」(15位)、「千歳市防災学習交流センター『そなえーる』」(20位)が上位ランキング入りしている。さらに、第3位には、神戸市の「神戸医療産業都市」が入っている。同都市構想は、阪神・淡路大震災で被災した神戸の経済を立て直すための復興事業として始まったもの。自然災害が多い日本における防災・減災活動、そして経済復興に向けた取り組みは、海外からも注目を集めているようだ。

海外からの参加アーティストが多い瀬戸内国際芸術祭が2位に

 インバウンド視察ランキング2位は、香川県の「瀬戸内国際芸術祭2019」だった。同事業の視察についても、全44件中、半数以上の24件が海外からの視察である。

瀬戸内国際芸術祭2019の様子(写真:瀬戸内国際芸術祭実行委員会事務局)
瀬戸内国際芸術祭2019の様子(写真:瀬戸内国際芸術祭実行委員会事務局)
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 「瀬戸内国際芸術祭」は、3年に1度、瀬戸内海に位置する12の島と2つの港を会場に開催される現代アートの祭典である。島や自然の魅力を生かした作品展開やイベントの実施などを通して地域の活力を取り戻すことを目指して行われている。

 2019年開催の瀬戸内国際芸術祭2019では、春、夏、秋の3会期に分け、計107日間開催し、来場者数は約118万人と過去最高となった。世界32の国と地域から230組のアーティストが参加したこともあり、海外からの注目度も高まったようだ。

インバウンド視察ランキング 1~10位
順位 名称 自治体名 視察件数
1位 人と防災未来センター(阪神・淡路大震災からの復興、経験の継承、風化防止) 兵庫県 42
2位 瀬戸内国際芸術祭2019 香川県 24
3位 神戸医療産業都市の概要説明 神戸市(兵庫県) 15
4位 武雄市図書館 武雄市(佐賀県) 14
5位 MOBIO(ものづくりビジネスセンターおおさか) 大阪府 13
6位 吉川市立美南小学校 吉川市(埼玉県) 11
7位 筑波研究学園都市の概要 つくば市(茨城県) 8
8位 伊万里市民図書館 伊万里市(佐賀県) 7
9位 ゆいの森あらかわ 荒川区(東京都) 6
9位 新潟県農業大学校 新潟県 6
9位 津波・高潮ステーション 大阪府 6
9位 大阪市建設局 舞洲スラッジセンター 大阪市(大阪府) 6