1999年にPFI法が施行されて以降、2017年度までに666件のPFI事業が実施されている(内閣府調べ)。事業数の増加に伴って、初期のPFI事業が期間満了となる案件も多くなってきた。2018年3月時点で期間が満了していた、あるいは満了予定だった事業のその後を整理する。この短期集中連載では、事例検証を交えながら、PFI事業の教訓を得る。

■日本のPFI事業数と契約金額の推移(累計・2018年3月31日現在)
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(資料:内閣府)

 PFI事業の期間が満了した後の次期事業を検討するに際しては、PFI事業自体の評価も欠かせない。PPP/PFI推進アクションプラン(平成30年改訂版、民間資金等活用事業推進会議)でも、「地域のPPP/PFI力の強化」の一環として、「先進的な地方公共団体の取組や組織設計等の分析・横展開、期間満了案件の検証」がうたわれている。PFI事業に対する評価・検証は、次期事業の選択にも影響を与える。

 2018年3月時点で期間が満了していた、あるいは満了予定だったPFI事業のその後を整理すると、5つのパターン――(1)2回目のPFI事業を実施、(2)事業期間を延長、(3)指定管理者制度に移行、(4)個別または包括の業務委託に移行、(5)新しい契約無しに終了――に大別できる。以下に各パターンとその事例を示した。

◇パターン(1) 2回目のPFI事業を実施(再度、民間事業者を公募)

    <例>
  • 東京都多摩地域ユース・プラザ(仮称)整備等事業(事業期間2003~15)
    → 多摩地域ユース・プラザ運営等事業(2015~25)
  • 海上自衛隊呉資料館(仮称)整備等事業(2005~14)
    → 海上自衛隊呉史料館建設維持管理運営事業(2014~21)

 期間満了後に2回目のPFI事業を実施した例としては、東京都多摩地域ユース・プラザ(高尾の森わくわくビレッジ)、海上自衛隊呉資料館などがある。1回目の事業範囲が整備(建設、改修)、運営・維持管理で、整備に関する事業費の占める割合が大きかったのに対して、2回目は運営・維持管理が主体になる。

 SPC(特別目的会社)について見てみると、呉資料館では代表企業(日立製作所)が同一で、2回目の参加企業に1回目の参加企業の一部が入っている。多摩地域ユース・プラザでは、単体企業(京王電鉄)が設立した1回目と同じSPCが2回目の事業も実施している。2回目の事業期間は、両者とも1回目の運営期間(整備期間を除く)と同じ期間になっている(第2回で詳述)。

■パターン(1) 例示した上記事業の実施状況
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(関連ウェブサイトなどを基に作成)

◇パターン(2) PFI事業を延長

    <例>
  • 横浜市下水道局改良土プラント増設・運営事業(2003~14→19)

 特殊なケースだが、PFI事業の期間を延長した事例である。横浜市下水道局改良土プラント事業は、SPCが改良土の販売収入によってプラント施設の建設費、管理運営費を賄う独立採算型のBTO方式によるスキームだ。市は2013年度までの10年間の事業期間を5年間延長した。これは、改良土プラントを北部汚泥資源化センター内で実施する次期PFI事業(横浜市北部汚泥資源化センター汚泥処理・有効利用事業)に引き継ぐための措置だった。

 なお、延長後の次期PFI事業は2016年5月に契約締結し、施設整備(既存の汚泥焼却炉の解体や燃料化施設・汚泥焼却炉の建設、改良土プラントの更新)を経て、稼働中の施設を含めた施設群の管理・運営が20年間(2019年4月~39年3月)に及ぶBTO方式による事業である。SPCは、JFEエンジニアリングを代表とするグループ(構成員:奥多摩工業、デイ・シイ、東芝電機サービス、奥多摩建設工業)で、改良土プラント事業のSPCだった横浜改良土センター(奥多摩工業、JFEプラント&サービス、奥多摩建設工業)が協力企業として参加している。

 また、改良土プラントの管理運営は初回と同じく、焼却灰の購入、改良土の製造・販売などの費用を、改良土販売収入で全て賄う独立採算型の事業となっているが、それ以外の施設の整備(設計・建設)、管理運営に関する部分は、サービス購入型となっている。

■パターン(2) 例示した上記事業の実施状況
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(関連ウェブサイトなどを基に作成)