PFI事業の期間満了後の対応の5つのパターン(第1回参照)のうち、今回は「パターン(1)」(2回目のPFI事業を実施)に該当する東京都の多摩地域ユース・プラザ(高尾の森わくわくビレッジ)について、2回目のPFI事業に至った経緯を紹介する。

多摩地域ユース・プラザ(名称:高尾の森わくわくビレッジ)の全景(写真:日経BP総研)
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施設案内図(資料:高尾の森わくわくビレッジのパンフレットより)
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 多摩地域ユース・プラザ(名称:高尾の森わくわくビレッジ)は、閉校となった東京都立八王子高陵高等学校を改修して整備する文化・学習施設、スポーツ施設、野外活動施設、宿泊施設などによって構成される施設群である。1回目のPFI事業は、旧校の改修とその後の10年間(2005年4月から2015年3月まで)にわたる運営・維持管理を業務内容とするRO(Rehabilitate + Operate)方式による事業だった。

 民間事業者は、京王電鉄が出資するSPC(特別目的会社)の京王ユース・プラザだった。事業者は、都が示す要求水準を満たして施設を利用可能な状態とするために必要な改修・運営・維持管理の対価としての「サービス購入料」と、施設の「利用料金」を収入源として事業を遂行した(サービス購入型と独立採算型を組み合わせた混合型)。事業者の入札金額は約64.5億円、利用料金はすべて事業者の収入となった。

 1回目のPFI事業の期間満了(2015年3月)が迫り、都はその後の方針について検討を重ねた。次期事業の手法について、PFI事業や指定管理者制度のほか、第三セクター方式や財産貸し付け方式、直轄+業務委託方式も含めてメリット・デメリットを検討した。最終的には、1回目と同じ混合型(サービス購入料+料金収入)によるPFI事業と指定管理者制度に絞って比較した。

 その結果、「サービス提供の柔軟性」「適切なコスト構造」「都のリスク軽減」の3点から、指定管理者制度よりもPFI事業のほうが有利と判断した。サービス提供の面で民間事業者の創意工夫が発揮しやすいこと、都にとってコスト縮減の効果が大きいこと、施設の不具合への即応や予防保全的な維持管理によって都にとってのリスクを小さくできることなどが、PFI事業採択の決め手になった。1回目のPFI事業で、宿泊者数が契約時の事業者の提案数を上回ったこと、事業規模が当初計画より大きくなって民間事業者が利益を上げられたことなども評価された。