今回は、PFIから指定管理に移行した事業のうち、岡山県リサーチパークインキュベーションセンター、徳島県青少年センター、長井海の手公園(神奈川県横須賀市)、とがやま温泉(兵庫県養父市)の概要を紹介する。PFI事業では、中心が施設の整備事業(設計・建設)であるのに対し、次期事業は施設の運営管理が主体になるため、地方自治法に基づく「公の施設」であれば指定管理者制度の採用が有力な選択肢となる。

岡山県リサーチパークインキュベーションセンターのウェブサイト

 PFI事業の期間満了後の次期事業で指定管理者の募集が掛かった場合、一般的に、PFI事業で運営管理に実績を上げた企業が応募する場合は有利になると予想される。その場合、PFI事業では整備(設計・建設)を主体とする企業がSPCの代表企業になるケースが多いのに対し、指定管理では参加企業の組み替えが行われ、代表企業は施設の運営・維持管理を主業務とする企業が担うことが多い。

 例えば、岡山県リサーチパークインキュベーションセンターの場合、PFI事業のSPC「PFI岡山インキュベート」の代表企業が大林組、構成企業がKTOパートナーズ、運営・維持管理を担った合人社計画研究所が協力企業だったのに対し、PFI期間満了後の指定管理者は大林 F・合人社・岡経研共同事業体(JV)で、大林ファシリティーズが代表企業、合人社計画研究所と岡山経済研究所が構成企業になっている(協力企業は岡山銀行と京都リサーチパーク)。

 徳島県青少年センターの指定管理では、PFI事業のSPCだった「徳山青少年センターPFI」が代表企業となり、同SPCの代表企業だった合人社計画研究所と、構成企業だった徳山パブリック・ビジネスと3者で共同事業体(徳島県青少年センター共同事業体)を組んでいる。

■岡山県リサーチパークインキュベーションセンターの事業比較
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(岡山県、合人社計画研究所などの資料をもとに作成)
■徳島県青少年センターの事業比較
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(徳島県、合人社計画研究所などの資料をもとに作成)

PFI事業のSPCと関係のない企業が指定管理者に

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長井海の手公園。「じゃぶじゃぶ池」から観覧車を望む(写真:日経BP総研)

 一方、長井海の手公園と、とがやま温泉施設では、指定管理者がPFI事業のSPCと関係のない企業になっている。長井海の手公園のPFI事業では、収益が見込める施設はBOT方式(施設設置許可制度・独立採算型)、収益の見込めない施設はBTO方式(指定管理者制度・サービス購入型)を採用した。次期事業の指定管理者の選定では、現在の指定管理者(西武造園グループ)が、PFI事業者(ファームグループ)を破った。

 同じく、混合型(サービス購入料+利用料金収入)のとがやま温泉PFI事業のSPC「とがやま温泉」は、利用者数の見込み違い、施設の維持管理費の増大などが原因で、大幅な債務超過に陥り、最終的にSPCの出資2社が残債務を折半処理した。次期事業では出資2社は手を挙げず、SPCとは関係のない事業者が指定管理者として施設の維持管理を実施している。

■長井海の手公園の事業比較
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(横須賀市などの資料をもとに作成)
■とがやま温泉の事業比較
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(養父市の資料をもとに作成)

 このように、PFI事業の期間満了後の次期事業者は、必ずしもPFI事業者の関係者とは限らない。自治体は、こうした事業者の交代を想定して、資産の振り分けなどを決めておく必要がある。長井海の手公園では事業者の交代が現実になったが、あらかじめ横須賀市とPFI事業者との間で資産の振り分けを決めて募集要項に記載していたこともあり、大きなトラブルもなく次期事業者へと事業が引継がれた(第4回で詳述)。

 なお、指定管理の期間は、とがやま温泉が3年、岡山県リサーチパークインキュベーションセンターと徳島県青少年センターが5年、長井海の手公園が8年とばらついている。長井海の手公園の期間が長いのは、指定管理者による投資回収を考慮してのことだ。

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