今回は、PFI事業から指定管理に移行した事業のうち、PFI事業者と異なる事業者が指定管理者に選定された長井海の手公園(神奈川県横須賀市)のケースについて紹介する。2015年度から指定管理者による運営・維持管理がスタート。事業者の創意工夫により集客増につながっている。また、市とPFI事業者の資産振り分けについては、指定管理者の募集要項に内容を記載したことによって、スムーズな引き継ぎが行われたという。

 一般的に、PFI事業の期間満了に伴い指定管理者の募集が掛かった場合、そのPFI事業で運営管理に実績を上げた企業が応募する場合は有利になると予想される。しかし、長井海の手公園(ソレイユの丘)では、応募3者のうち、PFI事業の関連企業ではなく、西武造園グループが指定管理者として選定されている。2016年4月1日から、長井海の手公園パートナーズ(西武造園、長井水産、不二環境サービス、KNT-CTホールディングス)が荒崎公園も加えて指定管理業務にあたっている。

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園内マップ(資料:長井海の手公園パートナーズ)と、指定管理者が設置した観覧車(写真:日経BP総研)
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日本初の公園PFI事業

 長井海の手公園は、横須賀市が旧日本海軍の施設跡地を国から譲渡され、日本初の公園PFI事業として2003年度に契約・着工し、2005年に農業体験などができる総合公園として開園した。事業者として選定されたのは、ファーム(愛媛県西条市)を代表企業とするグループだ(構成企業:鹿島建設、みらい建設工業、京浜急行電鉄、ランドスケープデザイン)。以降、PFI事業者が運営・維持管理(2006年度にSPCの横須賀ファームを指定管理者に指定。期間は2015年3月31日まで)を実施した。

 この事業では、BTO 方式とBOT方式の2事業方式を併用した。レストランや温浴施設、青空市場、駐車場などの収益が見込める施設はBOT方式(施設設置許可制度・独立採算型)、管理事務所や体験農園、温室、自由広場、池、トイレなど収益の見込めない施設はBTO方式(指定管理者制度・サービス購入型)として市が維持管理費を負担した。事業費が約76億円で、そのうち、BTO部分に対する年間4億円の指定管理料を10年間にわたって据え置き、残りの36億円がサービス購入料だった。