「運営重視型PPP」のススメの第3回目となる今回は、サッカーやラグビーのためのスタジアム整備のPFI事業において、施設の設計・施工・管理・運営業務のみならず、スタジアムの立地する小倉駅新幹線口地区のエリアマネジメントへの協力を義務付けた「北九州市スタジアム整備等PFI事業」(北九州市)を紹介します。

事業概要:1万5000人収容規模のサッカースタジアム

 「北九州市スタジアム整備等PFI事業」は、サッカー(J1ライセンス対応)やラグビーなど球技のためのスタジアム(1万5000人収容規模)の整備・管理・運営をPFI手法にて行う事業です。2017年2月に杮(こけら)落しを済ませており、現在はJ2ギラヴァンツ北九州のホームスタジアムとして使用されています。名称は、ネーミングライツにより「ミクニワールドスタジアム北九州」と呼ばれています(正式名称は北九州市スタジアム)。この事業の経緯は以下に示す通りです。

①整備のきっかけ

 2007年4月、北九州市体育協会を通じ、北九州市サッカー協会、ラグビー協会が市に対してスタジアム整備の要望を提出しました。これを受けて、北九州市スポーツ振興審議会は2008年3月、北九州市の体育施設が抱える問題点、重点施策との関係、財政状況等を踏まえた「北九州市の体育施設のあり方」についての提言を発表しました。

【提言内容】
・高規格大規模の体育施設(Jリーグ規格を満たした球技場の整備、総合体育館、市民球場の改修等)が必要。
・特に、ニューウェーブ北九州がJリーグに昇格する可能性が高まりつつあることや、企業・市民の支援の輪が広がりつつあることを考慮すると、昇格条件であるJリーグ規格を満たした球技場は優先的に整備すべき。

 そして2009年11月、地元のフットボールクラブ「ニューウェーブ北九州」がJFLを勝ち抜き、晴れてJリーグ(J2)に昇格、チーム名を「ギラヴァンツ北九州」として活動を開始しました。

②北九州市における整備に向けた準備と事業化

 ①で説明したような地元スポーツ界の盛り上がりを受け、北九州市では2010年11月、「新球技場の基本方針」を公表。下表のように準備し事業化を進めました。

2010年11月 「新球技場の基本方針」の公表
2011年~12年 整備方針の策定(1回目の公共事業評価)
2012年~13年 事業計画の策定(2回目の公共事業評価)
2013年6月 市長整備着手表明
2014年2月~7月 PFI事業者公募・選定
2015年4月~17年1月 工事
2017年2月 スタジアムオープン
(公開情報より日本総研作成)

 2017年2月、スタジアムの杮落しとして「サンウルブズvsジャパンラグビートップリーグオールスター」が行われました。そして同年3月に行われたJ3リーグ第1節の「ギラヴァンツ北九州vsブラウブリッツ秋田」を「グランドオープン」と位置づけ、完成式典・オープニングイベントが行われました。試合中に選手の蹴ったボールが低いバックスタンドを超えて海に落ちる「海ぽちゃスタジアム」として話題をさらったことは記憶に新しいと思います。

[画像のクリックで拡大表示]
「海ぽちゃスタジアム」として話題をさらった北九州市スタジアム(写真提供:2枚とも北九州市)
「海ぽちゃスタジアム」として話題をさらった北九州市スタジアム(写真提供:2枚とも北九州市)
[画像のクリックで拡大表示]