現状と今後の展望

 大和リースによると、オープン直後にコロナ禍に見舞われるという不運があり、オープン当初は利用者獲得に苦戦したものの、徐々に利用者を回復させることができているとのことです。現在では、特に小さな子どもを連れた家族による人気が高く、土日祝日はもちろん、平日においてもにぎわいを見せる人気スポットとして、地域の人々に親しまれる施設として利用されています。

 現地を訪れてみると、平日ではありましたが、公園に遊びに来た人が、遊び疲れた後に公園に面したカフェで休憩する、小腹が減ったためアイスや軽食をテイクアウトする姿などを見かけました。また、買い物に来た家族連れが、お母さんの買い物中お父さんと子どもが公園で遊ぶ姿なども見かけることができ、「公園の中の商業施設」という事業コンセプトが、非常に高いレベルで実現していることを体感しました。

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現在のブランチ大津京(出所:日本総合研究所)
現在のブランチ大津京(出所:日本総合研究所)
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 このように、事業実施目的であった行政課題を解決させつつ、まちづくりにも寄与するものとして、ブランチ大津京と近江神宮外苑公園は、商業施設と公園が融合した地域に愛される施設として、コロナ禍にも負けず、運営されています。

 大津びわこ競輪場跡地公募提案型貸付事業では、旧競輪場施設の解体等の行政課題の解決については、事業実施に際しての必須条件として設定したうえで、行政課題以外は、条件を付与せず、民間事業者の裁量に委ねました。そのうえで大津市として、民間事業者の責任と費用負担で実現してくれたら望ましいこと、すなわち、まちづくりに寄与する魅力的な施設運営方法を審査基準として設定し、分かりやすく民間事業者に伝えました。これらの取り組みにより、商業施設と公園が融合した地域に愛される施設として、強い運営力を持った事業を実現させることができました。

 事業は2050年4月30日まで、31年6カ月間という長期にわたり継続する予定とされています。長期間の事業中には、今般のコロナ禍のような予測不能な事態は発生することも考えられますが、商業施設の運営者である大和リースと、公園管理者である大津市との共創により、末永く地域に愛され続ける施設であることが望まれています。

佐藤 悠太(さとう・ゆうた)
日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 地域・共創デザイングループ マネジャー
1982年生まれ。横浜国立大学経営学部会計情報学科卒業。2008年に大手ゼネコンに入社、2013年に日本総合研究所入社。公園、スポーツ施設を始め、近年は公営電気事業に関するPPP/PFI事業に関わる各種コンサルティングに従事。