「運営重視型PPP」のススメの第6回目となる今回は、連載の<中間総括>として、「運営重視型PPP」の最近の動向について解説し、今後の広がりを示唆していきます。「運営重視型PPP」の考え方は広がりつつあり、BT+コンセッション、PFI+SIBなどの新しい手法もPPP事業で採用されています。また、これからは地域金融機関のさらなる参画に期待が寄せられます。

 本コラムの第1回では、「運営重視型PPPの導入に向けたチェックリストの一例」として、様々な「運営重視型PPP」に適した事業手法を示しました。その後、この時に提示していなかった新たなPPP手法による運営重視型の事業が誕生しています。そのいくつかを紹介していきます。

1.大規模施設の新設にBT+コンセッション

(愛知県「愛知県新体育館整備・運営等事業(これまでの経緯)」より)
(愛知県「愛知県新体育館整備・運営等事業(これまでの経緯)」より)

 例えば、「BT(Build Transfer)+公共施設等運営権(コンセッション)」というこれまでにない手法を採用したのが、愛知県新体育館整備・運営等事業です(2021年2月に落札者が決定)。この事業の詳細については、次回以降で詳しく解説する予定ですので、今回は概要について触れておきます。

 この事業では、施設の整備を事業者が自らの提案をもとに新体育館の設計・建設を行った後、県に新体育館の所有権を移転するBT方式、施設の管理運営を公共施設等運営権方式とし、両者を特定事業とした一体の事業としています。また、入札方法については、設計・建設費相当額だけで396億円である事業費に対して、予定価格を200億円に設定し、設計・建設費相当額と応札金額の差額相当額を運営権対価としています。運営権の存続期間は30年間です。

 運営権対価として約200億円が想定されているため、事業期間を通じて、この金額を上回る収益を生み出す必要がある仕組みとしていることからも分かる通り、この事業では相当に企画力・運営力のある事業者でなければ応札できない事業、つまり極めて強く運営を重視した事業であるといえます。

 また、この事業に応募する際の参加・資格要件においては、設計・建設業務、開業準備業務、維持管理・運営業務に携わる企業名を明記しなくても応募でき(明記されなくても評価に影響されない)、統括マネジメント業務(統括管理、運営企画等)に携わる企業名を明記することが必須とされています。さらには、「サービスプロバイダー方式」(運営管理予定事業者を先に選定し、その意見を設計・建設、設備などに反映したうえで設計事業者を選ぶ方式。コラム第2回参照)の事業と同様に、運営開始後に代表企業の変更も容認されています(愛知県が承認した場合に限る)。

 これらの要件からも、愛知県は事業者に対して、運営に際しての経営力や事業企画力について大いに期待していることが伺えます。

 この事業を落札したAichi Smart Arena グループは、設計・建設期間の代表企業が前田建設工業、維持管理・運営期間の代表企業がNTTドコモ、構成企業には、海外でアリーナ運営やプロモーターとして多くの実績を有する米国企業であるAnschutz Sports Holdingsが名を連ねています。今後は、この経営力・事業企画力を備えたグループによる世界水準のアリーナ運営・経営が国内でも展開されることが期待されています。