2.都市公園における「運営重視型PPP」とは?

 こうした近年の都市公園の再整備事例を俯瞰すると、第7回で解説した観光施設と同様に集客施設としての様相を色濃くした印象すら受けます。

 しかし、都市公園が観光施設と決定的に異なる点があります。それは、都市公園は都市基盤施設であり、公共性の強い役割を担っているという点です。都市公園は、地域の防災拠点としての機能、都市部における緑化率やオープンスペースの確保、住民の健康増進やレクリエーション、憩いの場などの役割を担っています。そこをないがしろにして賑わい創出や経済活性化を目指すわけにはいきません。観光施設との根本的な違いです。

 都市公園に商業施設などの賑わい施設が設置されること自体は、多くの場合、地域の住民にとっても喜ばしいことだと言えるでしょう。また、設置した商業施設の収益により当該都市公園の管理運営費用を賄えるようになったり、イメージアップなどにより周辺地域の不動産価値が向上したりすることは、行政のみならず住民にとっても大きなメリットであることは間違いありません。一方で、都市公園内に商業施設などを誘致すること自体が目的化してしまい、結果として公園内の緑地が商業施設の前庭のようになってしまったり、地域にとって大切な緑地や植物が大きく棄損されたりしては本末転倒と言えるでしょう。

 また、都市公園は地域の住民団体などの活動・表現の場としても活用されているケースが多く、特に自然豊かな公園である場合、再整備による商業施設などの誘致に対して、住民の反対運動が起こることも珍しくありません。

 こうした現状に鑑みると、都市公園のPPP事業においては、都市基盤施設としての役割×地域の賑わい×事業性のバランスを十分に考慮した事業デザインと、それを実現できる運営事業者を選定することが「運営重視型PPP」であると言えます。都市公園についても、「運営重視型PPP」の実現に向けた3つのポイントが考えられます。

ポイント1:都市公園こそ地域との対話を重視した事業デザインを

 都市公園は24時間、不特定多数の来園者が自由に出入りできる施設が大半であり、運動施設や文化教育施設など他の公共施設が立地しているケースも少なくありません。そのため、利害関係者が極めて多いのが他の公共施設にはない大きな特徴です。こうした多くの利害関係者の意向を無視した安易な商業施設などの誘致については、事業が決して円滑に進まないことが懸念されます。

 そのために、施設の基本計画や官民連携手法の導入可能性調査の段階において、民間事業者へのサウンディングと同等、あるいはそれ以上に、地域の住民や当該都市公園の利用団体などとの対話や意見交換、ワークショップなどを重ねた上での事業デザインが必要となります。

 こうした利害関係者の意向を踏まえた当該公園のあり方・方向性や事業条件を設定し、それに対応でき得る企画・運営能力を有する事業者を選定できるような、事業スキームや運営事業者の選定方法を採用することが重要です。

ポイント2:地域に根付くためには、事業期間の長期化が必要

 都市公園におけるPPP事業は、既存施設に指定管理者制度を導入したケースが多いと言えます。ところが、指定管理者制度については、根拠法である地方自治法では事業期間についての定めがありません。一般的には、各公園管理者である地方自治体が独自に定めるガイドラインや手引きによって、原則3~5年程度と定められているのが現状です。

 同ガイドラインや手引きにおいては、事業期間に例外を設けることを規定しているケースも多いのですが、実際にはPFI手法やPark-PFIを導入しない限りは、事業期間を5年以上の長期に設定することは難しいと言えます。そのためか、指定管理者の事業期間を長期化しようとする際の庁内や議会への説明として、(PFIやPark-PFIと同様に)「民間事業者からの投資を促すために、投資回収が可能な長期の事業期間が必要」という理由が語られることがしばしばです。その結果、事業期間を長期化する目的について、「民間の投資回収のしやすさに配慮したためである」と単純に理解されてしまうことも少なくありません。

 上記の理解については、決して誤っているわけではありません。当該都市公園の整備や再整備などに際して、民間事業者からの投資を促すことは重要な要素の一つでもあります。しかしながら、この理解が先行してしまうと、「民間事業者が投資対象としない都市公園については、長期の事業期間を設定するは必要ない」という誤解を生みかねません。

 長期にわたる管理運営が必要な理由は、事業の収益性改善だけではありません。「地域に根付いた管理運営」という観点からも、事業期間の長期化は検討されるべきだと言えます。都市公園は利害関係者が非常に多く存在する特殊な公共施設であるため、都市公園の管理運営を担うということは、こうした利害関係者との良好な関係を構築し、地域に根付いた管理運営をすることが求められます。これを実現しようとするには、3~5年程度という事業期間は決して十分ではありません。

 都市公園におけるPPP事業の事業期間の長期化を検討することは、「運営重視型PPP」の実現に向けた重要な方策であると言えるのです。