ポイント3:「アウトドアテーマパーク」としての活用

 昨今では、都市公園への新たな賑わい・魅力化と言えば商業施設を誘致すること、という発想が半ば定着しつつあると感じるところです。しかしながら、多くの都市公園が本来有する特性(自然・緑豊か)や空間構成(広いオープンスペース)などを大きく損なうことなくそのまま活用するという観点では、アウトドア系事業を導入することで当該公園の賑わい・魅力化を図るという方策も考えられます。

 昨今のコロナ禍にあって、三密を避け感染症拡大リスクの回避対策が採りやすいことから、各地のキャンプ場などが大いに賑わっています。こうした動向などを受け、アウトドア系事業の導入をキー・コンテンツにして、都市公園のリニューアルを図ろうとする事例も出てきています。

 京都府宇治市にある京都府立山城総合運動公園は、1988年の第43回国民体育大会が京都府で開催されることに合わせて1982年に開園した約100haの総合運動公園です。開園以来、府民にとっての運動公園であり自然豊かな憩いの公園でしたが、施設の老朽化と府民ニーズの多様化等を踏まえて、2021年4月からアウトドアテーマパークとして新たに生まれ変わりつつあります。このリニューアル事業を主導するのが、同公園の指定管理者である(公財)京都府公園公社で、同社の自主事業として様々なアウトドア系事業者とパートナーシップを組み、リニューアルを進めています。

■府立山城総合運動公園のリニューアルの一例
(出典:太陽が丘アウトドアパーク〔左と中央〕、出典:Yamashiro Outdoor Living〔右〕)

 都市公園をアウトドアテーマパークとして活用することについては、以下の観点から、都市基盤施設としての役割×地域の賑わい×事業性のバランスを確保しやすい事業と言えます。事業の検討をしっかりと行うことで、「運営重視型PPP」の実現にもつながると考えます。

  • 都市公園内のオープンスペースや自然をそのまま活用することから、事業を実施する際に大型の施設の設置の必要が無く、公園の形状を変えたり植栽を伐採するなどの開発に相当する行為がないため、既存の公園利用者の理解を得られやすい。
  • 設置する施設の多くが仮設による設置であり、施設の撤去が比較的容易であることから、時代のニーズに合わせた事業内容の変更や、災害時の避難場所の確保などに対応しやすい。
  • 自然とともに過ごすアクティビティは幅広い客層から支持を得られやすく、新型コロナ禍対策も比較的講じやすいことから、安心・安定して地域の賑わいに貢献し得る。
  • 商業施設などの設置に比べると初期投資を抑えることができるため、天候や災害などのリスクを加味しても一定の事業性を確保しやすい。

 公募設置管理制度(Park-PFI)の創設によりPPP事業が大きく進展した都市公園ですが、都市公園を「活用可能な公有地」と誤解をしてしまうと、PPP事業の導入がかえって地域本来の付加価値を大きく損なうことにもつながりかねません。都市公園における「運営重視型PPP」を実現するためには、運営事業者のみならず、地域としっかり向き合いながら事業デザインを設計することが重要となります。

板垣 晋(いたがき・すすむ)
日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 地域・共創デザイングループ シニアマネジャー
1976年生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修士取得退学(地域研究修士)。2004年に建設コンサルタント会社に入社し、地方都市の都市計画等の上位計画の策定業務などに従事。その後、スマートシティ関連コンサルティング会社を経て、日本総研に入社。日本総研では、文教施設(美術館、ホール、大学等)や観光施設、都市公園といった集客性の高い公共施設を中心に、PPP事業の構想策定から事業者選定支援まで幅広い案件に従事。近年では、歴史的建造物のリノベーション・利活用事業の支援にも従事。内閣府のPPP/PFI専門家派遣の専門家として複数都市に派遣された他、京都大学公共政策大学院「地域活性化論」の講師として登壇(2019年度、2020年度)。技術士(建設部門/分野:都市及び地方計画)。