背景にはPPP事業の多様化が

 PPP事業の手法は、PFI、指定管理者制度に加えて、Park-PFI(2017年の都市公園法改正により創設された公募設置管理制度)や公有地活用(PRE事業)、さらには産官学連携、シェアリングエコノミー、自治体と企業の包括連携協定など多様化しています。また、シェアリングエコノミーや包括連携協定においては、従前のPFI事業や指定管理者制度では参画することのなかった企業が名を連ねています。PPP事業は、手法の多様化が進むにつれ、担い手の裾野も広がりを見せているのです。

 こうした担い手の裾野の広がりが、「運営重視型PPP」の発展を可能とします。そもそもまちづくりにおいては、多様な担い手によって地域に付加価値がもたらされるものだからです。運営能力のある事業者でなければ、新しい多様な担い手とのスムーズな連携は難しいでしょう。

「運営重視型PPP」の前提条件と特徴

(1)不動産活用事業であるということ

 先述したように、本稿で想定する「運営重視型PPP」を導入すべき事業は、「まちづくりへの影響の大きい集客力の高い公共施設や公有地の利活用におけるPPP事業」です。これはすなわち、民間事業者が公的不動産を活用して投資リスク・需要リスク負って事業を展開する不動産活用事業ということになります。

 不動産活用事業における、投資リスク・需要リスクといった事業リスクに対する許容範囲や提供サービスの内容・質は、当該事業の不動産価値に大きく依存します。民間事業者は、当該不動産の利活用事業から得られる収益以上の事業リスクは負えません。一方、「市長の直轄案件だから」であるとか「本市の主要事業だから」といった、行政側の思いや理屈だけで当該事業の対象となる不動産価値が上がることはありません。自治体は、この点を念頭に置き、事業を構想する必要があります。

対象地・対象施設の不動産価値に応じた各事業条件の設定のイメージ(資料:日本総合研究所)
対象地・対象施設の不動産価値に応じた各事業条件の設定のイメージ(資料:日本総合研究所)
[画像のクリックで拡大表示]

(2)地域や住民、利用者にとって付加価値のある事業とすること

 PPP事業が公共事業である以上、当然のことながら当該事業により解決すべき地域課題と達成目標があります。自治体はこれを達成することが大前提となります。自治体は、民間事業者との連携によって従前の公的不動資産に新たな機能や価値を付加することで、高付加価値な事業としていかなくてはなりません。「運営重視型PPP」はそのための有力な手段となります。