「運営重視型PPP」に求められる3つの条件 (2)運営事業者の能力に重点を置く

 「運営重視型PPP」によるまちづくり事業を進めていくためには、運営事業を重視する事業のデザインが重要です。そのためには、いかにして企画力・運営力のある事業者を当該事業に巻き込んでいくかも重要なポイントになります。運営事業者を巻き込むタイミングとしては、できるだけ当該事業の構想段階など早い段階である方が望ましいといえるでしょう。施設の基本計画・基本設計や事業スキームの検討などにおいて、運営事業者の意向を踏まえた検討ステップを踏んでいくことができるからです。

 こうした、運営事業者を重視するPPP事業の事業化プロセスについては、例えば、運営事業者を先行して選定し、この運営事業者と行政が協働して当該事業の要求水準等を検討するという手法があります。

 大阪府箕面市が実施した「(仮称)箕面船場駅前地区まちづくり拠点施設整備運営事業」では、主要施設である市民ホールの運営事業者を選定し、当該事業者と箕面市が協働して施設の整備・維持管理に関する要求水準を作成。その後、選定された施設の整備・維持管理事業者と先の運営事業者がSPC(当該事業を実施するための特定目的会社)を設立して事業を実施することがデザインされています。

事業者決定時に公表された文化ホール外観イメージ(箕面市の発表資料より)
事業者決定時に公表された文化ホール外観イメージ(箕面市の発表資料より)

 また、運営事業と同等に施設本体に非常に高い技術力やデザイン力が求められる施設(大規模スポーツ施設や美術館・博物館など)においては、設計・施工事業者と運営事業者の双方に高い能力が求められます。そのため、こうした事業者がコンソーシアムを組み事業に参画するような事業デザインが必要です。

 青森県弘前市が実施した「弘前市吉野町緑地周辺整備等PFI事業」では、まちづくり拠点を創造するための運営能力に加えて、新たな美術館の整備に係る建築全体のデザイン性や内部空間の利便性、快適性などの空間設計能力を有する設計者の参画が期待されていました。そのため弘前市では、当該事業の構想段階から、技術力・デザイン力と運営能力の双方を民間事業者に求めていることを打ち出し、公募の段階においても、関心を持つ事業者とのたび重なる対話を実施し、市の思いを事業者に伝えるというステップを踏みました。その結果、新進気鋭の設計事業者と、著名キュレーターが代表を務める運営事業者などがコンソーシアムを結成したグループが応募し、選定されました。

2020年7月のグランドオープン時の弘前れんが倉庫美術館の外観(スターツコーポレーションの発表資料より)
2020年7月のグランドオープン時の弘前れんが倉庫美術館の外観(スターツコーポレーションの発表資料より)