話題の場所をいざ視察。けれど知見が全く活かされない……。
それってただの観光では?

解説:目的意識を持った意義ある視察を

ポートランド(米国オレゴン州)といえば、先進的なまちづくりで話題となり、視察候補として必ず挙げられる街として有名だ。きっと身近にも視察に訪れた人がいるのではないだろうか。

ポートランド市開発局に在職していた2016年に『ポートランド――世界で一番住みたい街をつくる』(学芸出版社)を著した山崎満広氏(一般社団法人クリエイティブシティラボ代表理事)は、次のようにコメントする。

「今でもポートランドの街を見にくる視察者はたくさんいます。ただ、一泊二日で、この街の住民参加の勘所まで押さえるのは無理かな、と思います」

「僕の知る限り、ほとんどの視察は報告書と報告会止まりで、そこからの展開はないようです。別にポートランドを見てきたからポートランドみたいな街を作るべきだと言っているわけではありません。ただ、その視察で何を感じて、どんなアイデアを得て、それをどう自分の街や開発に展開し実装できるかが、本当の視察の『成果』であるべきだと僕は思います」

ポートランドに限らず、話題となった施設や街には多くの「視察団」が訪れる。そして、時には物見遊山との批判を受けることも。

もちろん、まちづくりを考えていくうえで、純粋に街を楽しむ経験を積むことは大切だ。しかし、それが税金を使っての視察であるならば、見るべきものをしっかり見て、会うべき人に会って聞くべきことを聞き、それぞれの自治体の政策やまちづくりに効果的に活かしてもらいたいものである。