順調に進めていたプロジェクトが、担当者の定期異動で暗礁に
……自治体「あるある」の1つ。

解説:異動という名のリセットボタン。行政の人事制度が足かせに

公民連携のプロジェクトを行なう際、民間事業者が最も恐れていることの1つに人事異動がある。息の合った行政の担当者と順調に進めてきたプロジェクトも、その担当者が異動で去ったとたん、今まで積み上げてきた信頼関係がリセットされ、これまで通じていた話が通じなくなってしまうことも……。

その徒労感は、すごろくで「ふりだしに戻る」のコマに止まってしまい、一瞬でスタート地点に戻されてしまったときを思い起こさせる。

行政職員は、おおよそ3年で部署を「定期異動」*1していく。その狙いとしては、幅広い業務に対応できるゼネラリストの育成、民間事業者との癒着防止などがあるとされる。「定期異動」にもそれなりの理屈はあるのだろう。しかし一方で、まちづくりは「誰がやっても同じ」とはならない。新しいまちづくりを進めるためにも、行政には新しい人事の仕組み*2を整備していくことを願いたい。

■注釈:行政職員の「定期異動」
*1 行政職員が3年で異動を繰り返す、いわゆる「定期異動」は、かなり以前から批判の対象となっている。例えば、行政改革に詳しい慶應義塾大学総合政策学部の上山信一教授は「最近の公務員にはゼネラリストとしての見識以上に専門性が問われる」「公務員は壮大な素人集団になりつつある」「役所の頻繁な人事異動の仕組みは明らかに時代にそぐわない」と、既に10年以上前に手厳しく指摘している。(日経 xTECH「岐路に立つ行政と公務員の品質管理――専門性のフィクションを超えて」2006年7月6日)

*2 実際、公民連携の成功事例として名高い岩手県紫波町のオガールプロジェクト(関連記事)の担当者は、12年間部署の異動をしていない。