完成後に使い手を探しているようでは、既に手遅れ

解説:計画段階からユーザーやプレイヤーの発掘を

民間企業が新規出店する際、綿密な事前マーケティングは欠かせないが、公共施設もしかりである。完成してみたら利用されずに閑古鳥となってしまっては、目も当てられない。単純に人口や近隣自治体との比較で割り出された数字を根拠に施設を整備しても、それだけでうまくいくとは限らない。

「企業の目的は顧客の創造である」とは米経営学者、ピーター・ドラッカーの言葉だが、公共施設の場合、ユーザーたる市民のニーズをくみ取る努力は欠かせない。「賑わい」や「交流」を目的とする施設ならなおさらだ。

年間90万人を超える入館者を集める市民交流施設「八戸ポータルミュージアム(はっち)」について、八戸市の小林眞市長はこう語る。

「オープンの3年ほど前から、若い人たちを中心にイベントを開催してもらい、オープンしたらすぐに「はっち」で継続していけるようにしていました。いずれにせよ、建物が出来上がる時には、既に中身が決まっているという状態にしておくべきです」

公共施設の一部を賃貸したりする場合には、プレイヤーたるテナントを事前に探しておくことも大事だ。施設がオープンしたもののテナントが歯抜け状態では、賑わいを生み出すのは難しいだろう。

テナントを事前に探しておくことで、金融リスクを抑えることもできる。岩手県紫波町の複合施設、オガールプラザでは、具体的な見込みテナントをあらかじめ固めていくことで、賃料収入をベースに全体の収支を計算し、無駄のない事業プランを立てることができた(実際、着工前にテナントは100%埋まっていた)。これなら、運営・維持管理の資金繰りに無理が生じることがなく、金融機関からの信用も高くなり、融資が受けやすくなる。また、あらかじめテナントを先付けすることで、店舗面積やレイアウト、設備などに無駄を出さずに細部の設計・施工を発注できるため、初期投資コストの圧縮にもつながる。