スピードが遅いのには訳がある…こともある

解説:お互いに前向きなコミュニケーションを

窓口のたらいまわし、杓子定規な回答、融通の利かない対応など、行政の“お役所仕事”にイライラさせられることは少なくない。公民連携事業では、「スピード感の違い(行政側の決定の遅さ)」が民間側の大きな不満となりがちだ。

ただ、行政側のスピードが遅くなりがちなことについては、そうならざるを得ない事情もある。公と民の人材マッチングなどを手掛けるPublic dots & Company代表取締役の伊藤大貴氏は次のように説明する。

「一つには法律と条例を運用する立場であること。ルールが想定しないケースが発生した場合には、どうしても調整に時間が掛かる。もう1つは税金を扱うということ。支出する金額によっては、議会への説明(場合によっては議会での議決)が必要になる。地方議会が開催されるのは年4回。議会は毎日開催されているわけではないので、ここで時間を要してしまう」

民間側でも、行政や議会の制度の存在理由や、市民からの税金を使うということの意味を、十分理解しておく必要はあるだろう。

また、公共施設やサービスの利用者目線で考えた場合でも、“お役所仕事”への安易なクレームは、公務員の労働時間と気力を奪うだけで益は少ない。寄せられる市民の声がクレームばかりだと、サイレントマジョリティの評価は届かない。「このサービス、すごくいい!」「この施設、また来たい!」そんなポジティブなフィードバックを行政にもっと伝えていってもいいはず。そうすることによって、公務員はより力を発揮し、公共サービスの質は上がっていくはずだ。

もちろん、行政側にも改善すべき点はある。「“お役所仕事”と呼ばれてしまうのは、行政のコミュニケーションスキルの低さもあるのでは」と語るのは前出の伊藤氏だ。

「ルールはルールとしてありながら、『何ができるか』『どうやったらできるか』という発想を頭に入れたコミュニケーションができると、“お役所仕事”と揶揄されることも減るのではないか」と伊藤氏は指摘する。

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