まちづくり計画でよく見かける「賑わい創出」という言葉。
……それはまるで魔法の呪文を唱えるかのよう。

解説:呪文を唱えるだけでは、賑わいは生まれない

市民のための公共施設の計画を見ると、その目的には必ずといっていいほど「賑わい創出」という文字が並ぶ。まちづくり界隈の事業目的の決まり文句だ。

発注者側が「賑わい創出」という大雑把な目的を示す。すると、何が起こるのか。計画を提案する側も、取りあえずこれをやれば「賑わい創出」につながると思われるような企画を出すことになる。例えば、大勢が使える広場のような空間、人が集まりそうな大型イベント、マルシェ、オープンカフェ……といった企画だ。

しかし、使う人がいなければ、広場は「だだっ広くてさみしい空間」でしかない。単発でイベントを開催するだけでは、創出した「賑わい」も一過性のものだ。いくら呪文を唱えても、持続的に人が滞留している風景を生み出す知恵を引き出すことはできない。

そもそも何をもって「賑わい」というのだろうか。

歩行者の数が増えればいいのか、地元商店街の売り上げを増やしたいのか。観光客を集めたいのか、地元の日常使いにしたいのか。売上総額が増えればいいのか、客単価を上げたいのか。市民活動が活発になればいいのか、事業に結びつく活動を増やしたいのか――。

まずは、ターゲットは誰なのかを明確にして、その場所における「賑わい」の本質を捉え、定義をしっかりする。そして携わる人が共通認識を持つことで、本当の「賑わい」を手に入れることにつながるだろう。

言葉だけがキラキラとしてしまいがちな「賑わい創出」。この言葉を呪文のように唱える前に、自分のまちにほしい「賑わい」について、もう一歩深く、掘り下げて言語化してみてはいかがだろうか。

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目的をはっきりさせた「賑わい」づくりに挑む自治体の例としては、兵庫県明石市(人口流入)島根県江津市(起業家誘致)静岡県熱海市(宿泊客数の回復)埼玉県鳩山町(ニュータウン活性化)、などがある(いずれも新・公民連携最前線の記事より)。

また、賑わい創出を実現・持続させるためには、調査や評価も重要だ。参考記事を以下に示す。

[レポート(1)]神田警察通り賑わい社会実験&トークセッション(公共R不動産)
 ……公共空間プロデュースで世界的に著名なゲール・アーキテクツによるアクティビティ調査と社会実験
「地域の稼ぎ」を増やすまちづくりの手法とは?(新・公民連携最前線)
 ……分散型ホテル事業と地域マーケット事業で検証