住民参加型のまちづくり。
ワークショップをやったからOK、になっていない?

解説:本当に市民が求める事業を生み出すために

問題解決やアイデア創出のための方法論として、今や誰もが一度は経験があるくらい身近なものとなったワークショップ。特に住民参加型のまちづくりの現場では、必ず実施されるほどに広く普及している。しかし、必ずしも住民の意見がきちんと吸い上げられ、反映される例ばかりではない。では、どうしたらよいのか。

見るからに「住民参加のアリバイづくり」としか見えない取り組みに対しては、「やるならちゃんとやってください」としか言いようがない。

「特定の人だけが話し、多くの人は聞いているだけ」「結局、ありきたりな意見しか出なかった」――。そんなワークショップの場づくりの失敗は、主催する自治体担当者がファシリテーション技術をきちんと学び、ノウハウを蓄積することで、ある程度は解決できるだろう。

やっかいなのは、ワークショップは盛り上がり、そこでの住民の意見が取り入れられたにも関わらず、今一つ事業の成果が上がらない場合だ。

例えばこんなケースだ。「新しい広場をつくります。どんなふうに使いたいですか」というお題のワークショップ。「あんなことができたら楽しそう」「こんな機材があったらいいよね」と、ワークショップは盛り上がりを見せ、そこでの意見を十分にくみ取った広場が完成した。ところが、いざフタを開けてみると、活用する市民がほとんどいない……。

市民から“自分ごと”としての意見を引き出せなければ、ワークショップは「自分が使うことを想定しない、リアリティのない夢ばかりが語られる場」になってしまう危険がある。そうした意見を反映した広場ができたところで、そこで活動する人がいきなり増えることはない。

せっかく開いたワークショップを、“形式ばかり”のものにしないためにも、参加者から「何が欲しいか」という要望のみを吸い上げるのではなく、「何をしたいか」という具体的なアクティビティを聞き出し、具体的な空間デザインに落とし込むことが大切だ。そのうえでさらに、「だれがやるのか」「どうやるのか」という運用体制の構築も並行して進めておくべきだろう。


この記事のURL https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/122100007/010900034/