ムダな公共施設は、その存在自体が行政経営を苦しめる

解説:財産となるか負の遺産となるかは、行政の姿勢と計画次第

高度経済成長期の頃からバブル期前後まで、自治体の多くは、施設整備に重きをおいたハード中心のまちづくりを進めてきた。公共施設のストックは右肩上がりで増えていった。

しかし、自治体財政が悪化した現在、このストックの維持管理や更新の費用が大きな負担となっている*。人口減少や市町村合併による機能重複によって、遊休資産となった施設も多い。人口動態、商圏規模などの見込みの甘さから、「利用者数が想定を大幅に下回る」「(公民連携の複合施設や第三セクターによる再開発などで)見込んだ商業テナントが誘致できない」といった事態を招いている施設もある。「ハコモノ行政」と揶揄されるゆえんである。

これからの時代、公共施設(ハード)を整備するなら、ライフサイクルコストの管理をしっかり行い、身の丈に合ったスペックの建物にすべきだ。また、施設に「市民参加」や「賑わい」を求めるのであれば特に、使い方(ソフト)を重視した施策が大切になる。例えば、施設に広場スペースをつくっても、使う人がいなければ、そこはムダに広い空きスペースでしかない。利用者である市民を巻き込みながら、ソフト重視の考え方へのシフトができるかどうかで、公共施設が財産となるか、負の遺産となるかの命運が分かれるだろう。

■注釈
* 東洋大学東洋大学PPP研究センター長/大学院経済学研究科公民連携専攻長の根本祐二教授は、今あるインフラ(公共施設と土木インフラ)を今後も同規模で維持するためには、耐用年数を迎えたインフラの更新費(維持管理コストは含まない)だけで毎年9.17兆円が必要になると試算している。公共施設と土木インフラの内訳はほぼ半々で、公共施設の更新費は年間4.63兆円となる(東洋大学PPP研究センター紀要7号「インフラ老朽化に伴う更新投資の規模試算(2016年度版)」より)