制度が洗練されれば民間のチャンスも増える

解説:増えてきた随意契約保証型、だがそれだけでは限界も

「民間提案制度」は、そもそも「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(PFI法)」の2011年の改正時に組み込まれている。同法によると、民間事業者は、公共施設等の管理者などに対してPFI事業の提案をすることができる。提案を受けた側は,提案について検討し、その結果を民間事業者に通知しなければならないことになっている。例は少ないが、この制度に則った提案も行われている*1

ただ、最近PPPの分野で広がってきている「民間提案制度」については、PFI法で定められた受け身の体制からもう一歩踏み込んで、自治体側から積極的に提案を求めている感がある。

一口に提案制度といっても、現時点での定義はまちまちだが、大きくは次の2つに分けられる。自治体が実施するすべての事業について民間事業者からの自由な提案を募集する「フリー型」と、自治体が定めたテーマについて広くアイデアを募集する「テーマ型」である。フリー型については、施設、土地などハードの活用だけに対象範囲を限定したタイプと、ソフトも含めた自治体のすべての事業を対象とするタイプがある。テーマ型については、サウンディング型市場調査と組み合わせる例もいくつか出てきた*2

民間の提案意欲を高めるための制度面での工夫も進む。最近では、アイデアを採用した事業者との随意契約を保証するタイプが主流になってきている。

ただ、全事業に対して自由に提案でき随意契約を保証するといっても、「自治体に新たな財政負担が生じないこと」という条件がつく場合も多い。そうなると民間側としても提案できる範囲は限定的となってしまう。例えば、民間からの賃料で数年後に投資回収できる見込みが立つ場合、あるいは行政の補助が入ることで、官民連携プロジェクトのその後のリターンが非常に大きくなることが見込める場合は、行政としても先行投資を検討するなど、長期的な視点でwin-winになるように、より丁寧なPPPプロジェクト形成が行えれば、民間事業者からの提案の幅が広がっていくだろう。

まだまだ制度を洗練させる余地はありそうだが、民間事業者のチャンスが増えるのはよいことだ。これからの発展に期待したい。

■注釈
*1 例えば、等々力緑地の一体活用、東急電鉄が川崎市にPFI事業を提案した(現時点では、川崎市まだ回答していない)。→関連記事
*2 栃木県鹿沼市や岡山県津山市などで実施されている。民間事業者の意見を聞く「サウンディング型市場調査」において良い提案があればそのまま民間提案制度に移行し、協議の結果、採用されれば随意契約を交わすという2段構えの手法だ。 →鹿沼市の発表 →津山市の発表