残った予算は「消化」するもの? 制度から見直すべき?

解説:「投資」マインドを持てば活用できるかも

自治体の会計制度である公会計制度は、予算単年度主義である点が民間とは大きく異なる。予算単年度主義とは、「予算は年度ごとに作成し、翌年度以降の予算を拘束してはならない」とする原則で、これによりその年の予算で行われる事業については年度末までに執行、完結(支払い)せねばならないため、年度末に駆け込みで予算消化が行われることになる。継続費や債務負担行為といった例外はあるものの、期をまたいだ複数年度にわたる事業が非常に困難になる、という問題もある。

そして、これは民間でもありがちなことだが、前年実績主義も不毛な支出を生み出している。予算獲得が至上命題となってしまっては、期中に予算を削減できる良いアイデアが出てきても、それを採用するインセンティブがなくなってしまう。

税金の有効活用という観点からも、予算の単年度主義や前年度実績主義を見直す必要があるのではないだろうか。海外では、単年度予算が複数年の支出計画(基準年3年間、2年おきに見直し)に基づいて定められる例もある*1

制度改正が難しいなら、残った予算は「消化するもの」と考えるのではなく、次の事業に対しての「投資」と捉えてみてはどうだろう。細切れの予算でも上手に使えば、単発の社会実験*2などを行うことも可能だ。そうした実践は翌年の事業につながっていくかもしれない。行政の担当者は、予算消化分を自分のやりたいと思っている事業のトライアル費用と捉え、温めておくしたたかさがあってもよいだろう。

■注釈
*1 稲田 圭祐「英国の複数年度予算 -制度的変遷と現行制度の評価-」(参議院調査室「立法と調査」305号、2010年6月1日)
*2 PPPまちづくりかるた「はじめの一歩 社会実験」