小田急沿線のベッドタウンとして発展してきた神奈川県座間市が公民連携のまちづくりに力を入れている。座間駅前では小田急電鉄の社宅だった建物を市営住宅として活用し、将来の駅前整備に向けた関係構築を果たした(関連記事)。米軍基地、キャンプ座間の敷地の一部では2016年度の返還を前に、関係者の合意を得て民間総合病院を整備中だ。この2つのプロジェクトが実現に至った背景と経緯を、遠藤三紀夫市長に聞いた。

(写真:安川 千秋)
(写真:安川 千秋)
[画像のクリックで拡大表示]

――小田急線座間駅前のホシノタニ団地内に、市営住宅の建て替えに必要な一時移転先として、借り上げ市営住宅を確保しました。借り上げ実現までの経緯を教えてください。

 座間市は小田急沿線のベッドタウンとして伸びてきた都市ですから、小田急電鉄とは運命共同体です。その小田急から5年ほど前に、座間駅前の社宅一帯を再開発したいという意向を聞かされたのがきっかけです。

 市と同じ「座間」という名前の座間駅は、市にとって顔とも言える駅です。立地条件から乗降客はそう多くありませんが、将来は沿線の中で独自の顔を持つ駅前を整備していけるのではないか、とイメージを描いていました。一方で小田急電鉄側は、連続立体交差事業や複々線化事業など設備投資の必要に迫られていたため、再開発するにしても振り向けられる投資額には限りがある、と聞いていました。

 何もいま急いで再開発をする必要はない。どうせ手を付けるなら、先を見すえた駅前整備がよいのではないか。そういう思いをざっくばらんに小田急電鉄にぶつけさせてもらいました。その後、社宅の建物をあのまま壊さないで住宅として整備するなら半分くらいお借りしたい、と申し入れました。市としては老朽化した市営住宅の建て替えを進めるため、建て替え工事中の一時移転先を確保する必要がありました。それを思い切って提案したところ、受け入れてもらったというわけです。鉄道事業者の社宅リノベーション事業に行政が乗っかり、その結果として出来上がったものに市民が非常に満足しているという、三方一両得の構図です。

借り上げ市営住宅として使われているホシノタニ団地内の住棟(写真:編集部)
借り上げ市営住宅として使われているホシノタニ団地内の住棟(写真:編集部)
[画像のクリックで拡大表示]

 こうして、社宅の既存建物を活用してホシノタニ団地として整備することになり、その一部を市営住宅や子育て支援センターとして借り上げさせてもらうことになりました。子育て支援センターは団地内で駅に最も近い場所に入っています。同センターをうまく活用してもらい、団地全体が非常に明るい印象に仕上がったように思います。