神戸市は公民連携に積極的な自治体の一つだ。市の中心部である三宮地区の再開発、六甲山の再生、人材活用、大学との連携など、市政の様々な場面で、民間の力をどのように生かそうと考えているのか。久元市長に聞いた。

(写真:特記以外すべて菅野勝男)
(写真:特記以外すべて菅野勝男)
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――神戸市では市政運営における様々な場面で民間の力を活用しています。2015年9月に「三宮地区の『再整備基本構想』」と、「神戸の都心の未来の姿[将来ビジョン]」を公表しましたが、三宮のまちづくりでは、市と民間企業はこれからそれぞれどのような役割を果たしていくイメージですか。

 三宮は1995年の地震で大きな被害を受けました。ビルは再建されましたが、再開発という面では、やはり他都市から遅れを取っていると言わざるを得ません。大阪の梅田や、同じ被災地の西宮北口はかなり大きく変貌していますよね。近辺の都市だけではなく、例えば福岡にしても、広島にしても、かなり街が賑わっています。

 三宮の賑わいを回復するためには、駅前の再開発が必要です。これは単に高層ビルを建てるということではなく、三宮はターミナル駅ですから、まず公共交通の乗り換えのしやすさを改善する。そして、駅を降りて三宮の街に出て、神戸のいろいろなところを回遊をしていく――。そういった「移動のしやすさ」を確保していくことが大変重要です。そのような観点からの再開発をしていきたいと思っています。

 今、どこの都市の玄関口に行っても、雰囲気が似ていて、あまり違いが見えなくなってきています。そうではなく、神戸らしさをどうつくり上げていくのか。三宮駅に降り立った時に、やはり神戸は港町であり、海と山に囲まれた街であるという雰囲気が感じられるような、神戸らしさを織り込んだ街にしていきたいですね。

――そのときに、市としてはどのような役割を意識していますか。

三宮地区のまちづくり5つの方針(資料:神戸市「三宮地区の『再整備基本構想』」)
三宮地区のまちづくり5つの方針(資料:神戸市「三宮地区の『再整備基本構想』」)

 神戸市には自ら都市計画事業、再開発事業を実施するアクターとしての役割もありますが、民間の再開発プロジェクトを含めたコーディネーター役をきちんと果たさなければいけないと思っています。民間事業者の新しい発想で開発を進められるようにしなくてはなりません。

 そのためには、まちづくりの専門家、照明の専門家、場合によってはサウンドスケープの専門家といった、民間のいろいろな専門家の知見が必要になってくるでしょう。コーディネーターの役割を適切に果たしていくうえでも、民間との連携は重要です。

――神戸市は大学との連携も盛んですが、三宮のまちづくりへの参画も考えられますか。

 例えば三宮では、駅の近くに学生の皆さんのたまり場のような場所、異なる大学の学生同士のつながりができるような場所をつくれれば、と思っています。そこで新しい企画を練ったり、あるいは企業と大学生との間で情報交換が行われ、新しい取り組みにつながるような交流が生まれることを期待しています。そうなれば、若者が三宮の再開発やまちづくりに参画することにもつながってくるでしょう。