「母になるなら、流山市」というキャッチフレーズで、子育て世代のファミリー層の獲得や定着を図る千葉県流山市。特に子供や30代、40代の若い世代の厚みが増し、少子高齢化社会を乗り切る成功モデルとして知られる自治体だ。2005年のつくばエキスプレス開業効果もあり、この10年間で人口が約2万5000人も増えた。

 朝夕の通勤時、南流山駅と流山おおたかの森駅の駅前に設置する送迎保育ステーションで子供を預かり、市内の保育園との間をバスで送迎する市民向けサービス、交流・賑わいを目的としたイベント「森のマルシェ」など、次々と施策を打ち出すことで、その人気をさらに高めている。

Tristをオープンした尾崎えり子さん、流山市長の井崎善治さん、Tristにサテライトオフィスを開設したISパートナーズ代表の山田メユミさんが、女性の多様な働き方について話し合った。(写真:本誌)
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 同市の次なる一手が、5月11日に開業した子育て女性向けのワーキングスペース「 Trist(トリスト)」だ。市のサポートを受けてこの事業を立ち上げたのが、流山市在住で2児の母でもある代表の尾崎えり子さん。流山市の「ママ向け創業スクール」の講師も務める。

 施設は南流山駅近くにあるエステ店だった空き店舗を改修。広さは100平方メートルほどで、20席のオフィススペースと多目的スペース、キッチンスペースで構成される。職住近接で子育てしながら地域で働きたい女性が、レンタルオフィスとして利用したり、スキルアップの研修プログラムを受けたりできる。

 また、月契約をして、企業のサテライトオフィスとしての利用できるのが、Tristの特徴だ。「地元ママを企業が採用し、こちらのオフィススペースを使ってもらえば、ママが都心まで電車で通勤しなくても済み、職住近接で仕事も家庭も充実させられる。都内に本社を置く企業の社員として働けるのもママにとっては魅力的」(尾崎さん)。

 さらに、「Trist内でほかの働くママたちとのネットワークづくりやスキルアップもできるようしたい」と尾崎さん。Tristでは、6月をめどにITや営業、コンテンツ制作などが学べる企業協賛による研修プログラムの開講も準備中だ。

 オフィススペースは、1日(9〜17時)借りで1席500円、月契約(24時間利用可)の場合は1席1万円。WiFI、コピー機、キッチンスペースなども利用できる。市の補助金を活用して、利用しやすい料金設定を実現している。

 流山市では、「流山市商店街空き店舗有効活用等事業補助金」を使って、尾崎さんの創業を支援。初期費用100万円、家賃補助(3年間)月6万9000円を上限で給付する。「地域に住む女性の新しい雇用創出モデルとして、助成やPRを行っていく。流山市は市民活動が盛んなところで、市が方向性ややる気を示せば、手を上げてもらえる土地柄。今後もTristのような地元で働きたいママたちのための施設をサポートしていきたい」(同市プロモーション課)と話す。

  「自治体との連携事業と言うことで信頼性が高まり、Tristへの企業誘致もしやすくなる。また私たちが、自治体と連携したい企業との橋渡し役にもなれる」と尾崎さん。公民連携の核として、ほかの自治体での展開も視野に入れている。