IT分野で成功し、ベンチャーキャピタリストも経験した企業家が農業分野にのめり込んでいる。水田用のセンサーを開発し、新潟市やNTTドコモと組んで実証実験に取り組んだ。自然相手の複雑な作業を先進的なIT技術でデータ化し、生産性向上に取り組もうという取り組みだ。それは高齢化している農業の働き手の一助になるかもしれない。

ベジタリア代表取締役 小池 聡氏(写真:室川イサオ)
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――2015年に、新潟市でNTTドコモと組んで、水田の水管理のための実証実験を行いました。どんな仕組みなのでしょうか?

 新潟市にある22の大規模稲作農業生産者に水田センサーシステム「PaddyWatch」を提供し、水田の水位や水温を自動計測して、携帯電話経由で生産者が確認できるようにしようという試みです。稲作は、細かい水管理が重要で、ほぼ毎日のように水田を見に行かなければならないのですが、普通の製造業と違い、稲作は保有する水田が何カ所にも分かれている。大規模生産者になればなるほど、この苦労が大きい。稲作においては水管理だけで農作業時間の25%を占めると言われるほどです。それを効率化し、コスト削減につなげようという発想です。

 ポイントの1つは、センサー。計測データの正確さ、防水、防湿はもちろんですが、作業の効率化には電池交換の手間を減らすことも重要です。このシステムのセンサーは市販の単1電池2本で1シーズン稼働します。ここはアルプス電機にも協力をしてもらいました。

実証実験で使用したシステムをベースに開発した「PaddyWatch」の発売を4月から開始した。実証の結果を受け、水位、水温だけでなく、地中のミネラル分なども測定できるように改良した(資料:べジタリア)
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 もう1つはクラウドベースの農業管理ソフト「アグリノート」。実はこのソフトは2012年から販売をしており、全国で4万2000ものユーザーがいます。それに加え、スマートフォンやApple Watchでも確認できるアプリを制作し、全体のシステムを組んでいます。

 ベジタリアが全体をコーディネイトし、子会社のイーラボ・エクスペリエンスがセンサーを開発。NTTドコモが携帯電話網を提供し、やはりベジタリアの子会社であるウォーターセルが持つ農業管理ソフト「アグリノート」で管理していくという流れです。22の大規模稲作農家にはローソン直営のローソンファームもあり、合わせて460万m2の耕作地に300のセンサーを設置しました。