ランダムに配置したひな壇
交流スポットとして多彩に機能

 遊歩道を設けた区間は、既存護岸からセットバックした形で高さ3m程度の防潮堤があり、改修前は一般の人は水辺に近寄れなかった(写真3)。府が実施したコンペを経て、遊歩道などをデザインした岩瀬諒子設計事務所(東京都台東区)の岩瀬諒子代表は、「段々畑のようにひな壇構造物が連続する空間で、希薄になっていた人と水の関係を緩やかにつなぐことを考えた」と話す。

写真3■改修前。府が2009年度から10年度に護岸を耐震補強した(写真:大阪府西大阪治水事務所)
[画像のクリックで拡大表示]

 遊歩道とオープンスペースには各所にひな壇構造物が幅や高さを変えて連続し、階段や腰掛け、ときには児童の遊び場としても機能する。訪れた人ごとに様々な形の“居場所”を提供することが、デザイン上の狙いだった。

 ひな壇構造物には花壇も配置。周辺住民などが植栽の維持管理に関わるソフト面の仕組みを取り入れることで、地域社会のコミュニケーション活性化を期待した仕掛けだ。

 概略・詳細設計はセントラルコンサルタント。同社大阪支社技術第2部環境水工グループの木下高副技師長は次のように説明する。「ひな壇が連続するデザインは複雑で、岩瀬代表と膝を突き合わせて何度も協議した。既存護岸は構造物を載せることを想定していなかったので、遊歩道を3区間に分けて安定計算し、積載許容値を割り出した」。

 岩瀬代表が関係者とのイメージ共有で用いたのが、50分の1の模型だ。「座りやすい位置はどこか」、「近隣から植栽はどう見えるか」など、模型を介して検討を重ねた。

 7月上旬に訪れた現地では、日が暮れた後にも散策する人の姿が目についた。腰掛けてピザをほうばりながら“夜のピクニック”を楽しんでいた若い女性たちに感想を尋ねると、「夜でも安心して戸外でくつろげる公共空間ができた。ここは静かで気持ちがいいですよ」と答え、快活な笑顔を見せた。