「日経デジタルヘルス」2015年10月16日付の記事より

 三重県南伊勢町で進められている高齢者の健康増進や生活支援の取り組みについて、担当者が「デジタルヘルスDAYS 2015」(主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)のオープンシアターで講演した。まずは、三重県 健康福祉部 ライフイノベーション課長の高村康氏が登壇、県で推進している医療・健康・福祉産業の振興策を紹介した。

 高村氏によれば、三重県は日本の平均的な地形や気候、人口動態、疾患罹患状況を持っているため、臨床研究などに適しているという。また、薬事産業の集積、整備された産学官の連携体制、地域医療連携体制といった特徴を持つとする。「県内に医学部を持つ大学は三重大学だけということもあり、病院間の連携が非常にスムーズで強固」(高村氏)といった背景もある。

三重県 健康福祉部 ライフイノベーション課長の高村康氏
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 この環境を生かし、三重県は「みえメディカルバレー」構想を掲げ、産官学連携ネットワークや、治験を蓄積・共有するネットワークの構築、バイオベンチャーの創出、健康ツーリズム産業や海洋深層水を用いる産業の創出を支援している。

 2012年7月には、国から地域活性化総合特区「みえライフイノベーション総合特区」の指定を受け、特区制度の下で、30万人分の統合型医療情報データベースの構築や、このデータベースと研究開発コーディネート機能を備えた「みえライフイノベーション推進センター(MieLIP)」の設置・活用を進めている。

 統合型医療情報データベースは三重大学医学部附属病院に設置し、県内の医療機関から情報を集めて蓄積している。医療の高度化や画期的な製品の開発に利用する考えだ。「2015年度中には、一部データを(個人情報を除くなどの)加工のうえ、利用できるようにする」(高村氏)。

 MieLIPは三重大に設置した「MieLIPセントラル」を中心拠点として、県内6カ所の地域拠点と連携しながら、医療機器や医薬品の研究開発を支援する施策。県の南側にある3拠点では地域の特性を生かして、海藻や海産物、海洋深層水を使った医薬品、化粧品、機能性食品などの開発を進めている。

 高村氏は「企業だけ、大学だけ、行政だけではできないことを産官学の連携で実現し、ビジネスを創出したい。三重県では地域課題を抱えた町を研究フィールドとして提供できる。連携企業を県内に限定するつもりはないので、全国または海外の企業にも、ぜひ声をかけてもらいたい」と話した。