「農スクール」のマニュアル化・公開を目指す

 こうした制度の充実に伴って、引きこもりやニートなどの生活困窮者に対して就労訓練をする福祉農園は今後増えていくだろう。生活困窮者の中でもホームレスに対しては衣食住の緊急支援が優先となるが、その後の社会復帰のためには就労支援も重要だ。これからは、「農スクール」と同様に、ホームレスに対する就労訓練に取り組みを広げる福祉農園も出てくるかもしれない。

 小島さんも「プレイヤーは増えてほしい。そうすれば、うちが定員をこれ以上増やせない場合も紹介して受け入れてもらえます。有料ではありますが、できる範囲で惜しむことなくノウハウを提供することも考えています」と語る。実際にマニュアル化を目指して「農スクール」におけるノウハウの蓄積も進めている。これとは別に、研修生を指導するトレーナーを育成するためのプログラムも用意している。

 もちろんマニュアルやトレーナーを手に入れたからといって、同様の取り組みがすぐにできるわけではないが、ホームレスや引きこもり、生活保護受給者に対する就農支援のノウハウは大きなヒントになる。これから続く人や団体もこうした土台の上に立ってスタートすれば成果を上げやすくなる。

 生活困窮者や生活保護受給者が支援プログラムによって就農し社会復帰することができれば、社会保障費の削減にもつながるだけでなく、高齢化に伴い担い手が減り続ける農業にとっても助けとなる。農業と福祉の「農福連携」が注目を集める中、これからどういった取り組みが出てくるのか、関係者の期待は大きい。