農地の流動性を高めて農業参入を促す

西辻一真社長(写真:川井直樹)
[画像のクリックで拡大表示]

 西辻社長は、農地の「流動性」にも風穴を開けようとしている。農地は、これまで簡単に賃借や売買ができず、流動性がないことが耕作放棄地の増大につながっている面がある。適正な評価、価格の目安がないことなどがネックとなって、農地を取引する市場が形成できていない。そこで2016年5月にソフトバンク・テクノロジーと農地情報の利活用サービスの提供を目的に提携し、7月には共同出資で「リデン」を設立した。

 マイファームには耕作放棄地などのデータが蓄積されている。ソフトバンク・テクノロジーが持つICTノウハウを生かして、遊休農地などを検索できるサイト「農地の窓口」をオープンした。ソフトバンク・テクノロジーが農水省の委託事業で開発した「全国農地ナビ」とも連携している。対象農地の調査、コンサルティング、行政手続きの代行といったサービスも提供する。農地の情報を広く流通させることで、将来的に農地を売買する市場が確立し、新規就農者の拡大や企業などによる大規模農業化につながることを期待しているという。

 西辻社長は、マイファームやアグリイノベーション大学の取り組みを通じて、農作業に親しむ人、新規就農者を増やし、さらに既存の“プロ農家”の営農指導や経営改善、農地の流通改革まで、農業のすそ野から山頂までを活性化させようとしている。今後は就農者の産品を扱う実店舗だけでなく、ECサイトの開設なども計画しているという。

 そもそも、西辻社長がこの道に入ったのは、生まれ育った福井で耕作放棄地が増えていくのを目にしたことがきっかけだった。自ら担い手になろうと大学で農業を学び、「農家になる道を探していた」という。就職した会社を1年ほどで退職し、農家を目指して、つてを探していた。「いずれはこの事業を誰かに託して、自分も今度こそ農家になるつもりだ」と話す西辻社長。「今の事業は、自分が農家になるためにやっているのかも」と笑う。