60歳代半ばを過ぎても、まだまだ元気な高齢者は多い。こうした人材を活用すれば、人手不足に悩む農家の貴重な“助っ人”になり、高齢者の社会参加の促進にもつながる。こんな思いから、シニア層の就農に力を入れる自治体がある。長寿社会作りの一環として静岡県が取り組む就農支援の状況から、高齢者の戦力化への道を探った。

 JAは静岡県において、元気な壮年熟期の人たちにアプローチし、社会参加を進める「壮年熟期活躍プロジェクト」を進めている。その中で、浜松市北区三ヶ日町(みっかびちょう)では、特産品である「三ヶ日みかん」の収穫体験を実施した。

JAみっかびの協力を得て実施したミカン収穫体験(写真:静岡県)
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 農作業の手伝いを通して、シニア層が社会と触れ合う場を増やす。県が力を入れる「いきいきとした長寿社会づくり」の促進にもつながる。もちろん深刻な人手不足に悩むミカン農家にとっても、収穫期の人材確保という大きなメリットが得られる。

 「壮年熟期」とは、66~76歳までの世代のことで、静岡県が独自に位置づける呼称だ。健康寿命で全国1位の実績を誇る静岡県は、健康状態の高齢者を増やす独自の施策に「ふじのくに型人生区分」を設定。壮年期は初期(46歳~55歳)、盛期(56歳~65歳)、熟期(66歳~76歳)の3段階に分けている。「壮年熟期活躍プロジェクト」は、退職などにより社会と関わる機会が少なくなる壮年熟期世代が社会で元気に活動することを応援するものだ。

壮年熟期が活躍するいきいき長寿社会づくり事業の概要(資料:静岡県)
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 静岡県は、特に定年後の熟期の人たちに対し、「必要とされている人材」であることを伝え、新しい人生の考え方と具体的な取り組みを提案する。こうして超高齢社会に対する前向きな意識、若返り意識を醸成させ、社会参加により心身の健康の増進を目指す。そのための実験的な取り組みがミカン収穫体験だ。