消費者マインドがないと売れない
高感度な女性たちがキーとなる

 「中高年男性ばかりをリーダーにしているから、政治や企業や地域団体のパフォーマンスが落ちる」と書きました。政治の世界で起きてきた分かりやすい問題は、少子化問題への取り組みの遅れです。日本の政治はこの半世紀近く、ざっくりいえば「景気対策」ばかりに集中し、若い世代が子どもを産み育てにくくなっていることに対して有効な手を打ってきませんでした。その結果が、GDPは増加基調なのに、毎年の出生者数が過去45年間で半減してしまった、という現実でした。

 出生者数が減れば、20年後からは若者が、40年後からは中年までもが減り始める。多年の事態放置の結果、日本はもうそういう状況に陥っています。「人口減少は地方の話で、東京はまだ栄えている」というのは、全くの思い込み。数字を確認すれば、首都圏でも増えているのはもう65歳以上だけです。だからこそ首都圏でも、ラッシュは年々楽になっていますし、外国人観光客が増えなければ、商業も大変なことになっていたでしょう。

 それどころか、今後30年間の人口予測を見れば明らかなことですが、これから高齢者がさらに増えるのは過去に若者を集めてきた都会で、若者を都会に出す側だった地方では高齢者の増加が先に止まります。多くの過疎地では既に高齢者が減り始めており、高齢者福祉にかかっていたお金を子育て世代支援に回す余裕が生まれ始めているのです。しかしそのことに気づいていない過疎自治体も多いですね。幹部から上が中高年男性ばかりで、今どき「インフラ整備で都会に追いつけ」という発想から全く抜け出せていないのです。

 企業にも同じ問題があります。特に大企業では、決定権を持っているのが男性ばかりであるために、「BtoC」(Business to Consumer)の世界で国際競争に負ける例が増えてきました。家電が典型ですが、消費者の中心である女性が求めているのはデザインとシンプルな使い勝手なので、男性開発者がダサいデザインに無駄な「機能」を詰め込んだ商品は、そっぽを向かれてしまっています。それでも技術力は健在なので、「BtoB」(Business to Business)の世界ではまだまだ強いのですが、価格競争が激化していて儲からない。工場で働いているのはロボットばかりで、所在地域の人口は増えず経済も活性化しない。

 これからの日本を支える柱の一つが、日本文化や地域の特産品を売りにした集客交流業であるのは明らかです。それに合わせて農業も工業も6次産業化していかなければならないのに、中高年男性が取り仕切っているのでは、生産はできても消費を喚起できない。感度のいい消費者が、生産側に回って意思決定しないと、世界に売れる商品はできません。

 感度のいい消費者は、日本では圧倒的に、男性ではなく女性です。女性の感性に訴えれば、人口減少でも消費は喚起できます。プロ野球がいい例で、女性社員の企画を次々通す広島東洋カープや、オーナーが女性の横浜DeNAベイスターズは、劇的に集客や関連商品売上を増やしました。

 昨年(2017年)に日本が、中国(+香港)から、5兆円を超える史上最大の黒字を稼いだのはご存じでしょうか。米国、台湾、韓国、シンガポールからも毎年、膨大な黒字を得ています。反対に日本が赤字になっている国はどこかというと、化石燃料産出国以外では、過去10年間以上一貫して、フランス、イタリア、スイスなのです(注)。スイスからは高級時計、フランス、イタリアからは服飾、ワイン、チーズなど、高額な手作り商品を輸入しているのが理由です。これを逆にいえば、日本には資金力とセンスのある女性消費者が多いということ。同じマーケットを開拓したいと思えば、生産側にある日本企業こそ、消費者として高感度なセンスを持つ女性たちを意思決定できる立場に置くことが重要なのです。

(注)2017年財務省データによる。